食後の後片付けを済ませると、二人は部屋に戻った。その時にアンジェリークはオリヴィエに普段着に着れそうなというか、
洗濯しやすい素材の服を持たせてもらった。
「これだったら、洗濯の心配も大丈夫だとは思うけど。もう返品はしないでよ」
との冗談とも本気とも言葉を添えて。その言葉に苦笑交じりでアンジェリークは服を受け取った。
「コーヒー、入れるね」
「ああ」
オリヴィエが持たせてくれた服の中で一番良く使うであろうエプロンを身につけ、アンジェリークはキッチンに向かう。レースと
フリルをふんだんに真っ白なそれは多少、少女趣味とは言えなくはないが、実用性はあるので、困りはしない。
「カップはそこの棚だったわよね……」
昼間にキッチンの何処に何があるのかは確認してある。コーヒーメーカーに二人分の豆を用意して、お湯を沸かして、カップを
温める。
「一日で随分慣れたもんだな。隙だらけだぜ?」
「!?」
「初めてここに来た時はガチガチだったのにな」
気配がなかった背後からの声にアンジェリークは身構えようとしだが、既に遅く。アリオスの腕の
中に閉じ込められてしまった。
「は、離してよ!」
背後から突然抱きすくめられ、アンジェリークは身をよじって逃れようとする。その様子をどこか
楽しそうにアリオスは見つめる。
「いいかげん、学習したらどうだ? 力で俺にかなうとでも思ってんのか?」
耳元に囁きかけると、そのまま耳朶を軽く噛んで、舌を這わせる。
「!」
途端に身を震わせ、反応を見せる。
「身体の方が正直なんじゃねえか?」
「や……!」
「嫌?」
クスリ、と妖しくアリオスが笑うのを耳元で感じる。アリオスの表情が見えない分、不安が増す。
「それに、おまえが俺に逆らえるのか? ま、そのうち、身体の方が逆らえなくなる、か」
「……」
その言葉にアンジェリークは悔しそうに唇を噛み締める。その屈服する顔を見るのが楽しくなりつつある。遊びなれたオンナ
では決して味わうことは出来ない。
「だ、駄目。お湯が……」
腕の中から抜け出す口実に沸騰しかけのケトルに視線を視線を向けるが、アリオスは片手でアンジェリークを封じ込めたまま、
ガスの火を止める。
「で、次はどんな言い訳をする?」
「……」
これ以上の抵抗は無駄なのだ、と知らしめられる。
「じ、じゃあ、好きにしたらいいじゃない……!」
うつむいて、搾り出すように告げたその言葉は屈服の証。恐らくどれだけ、肌を重ねたとしてもこの少女は変わらないだろう。
その心とは裏腹に身体は変えられてゆくのだとしても。
「ああ、好きにさせてもらうさ」
そう告げると、アリオスはアンジェリークの顎を掴み、上向けさせると、きつい視線が向けられる。
「目を閉じろよ。こう言う時のルールをいい加減に覚えな」
「……」
悔しげに唇を噛み締めながらも、アンジェリークは瞳を伏せる。
ツ…と、アンジェリークの唇をなぞると、こわばりが解ける。その瞬間を狙い、アリオスはアンジェリークの唇を自分のそれで
塞いだ。
また、裏に入ってゆきます……
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