アンジェリークをバスルームに連れてくるとアリオスは器用にバスローブの帯を唇で解いてしまう。はらり…とバスローブが
はだけてしまう。
「やだ、何するのよ!」
「脱がなきゃ、入れないぜ?」
「一人で出来るから、やめてよ!」
 ほとんど悲鳴に近い状態。昨日は夜の寝室の中だったが、今は日も明るい朝のバスルーム。明るい光の下で昨日の名残が
消えていない肌を見られるのに、羞恥に耐えるはずがない。それをわかりきっているからこそ運んできたのだが。
「大人しくしろよ。おまえは俺に買われたんだろう? 俺が面倒を見る必要があるじゃねえか」
「……」
 その言葉に逆らえない事を知ってる。それを承知で買われたのだ。どのように扱われても文句など言えるはずもない。ゆっ
くりと強張る身体から力を抜いていった。

 浴室のバスタブにはすでに湯が張られていた。アンジェリークが入るのを最初から考えていたからだろう。
 アリオスに支えられるようにして、軽くシャワーを浴びると、バスタブに身を沈める。
「ふぅ……」
 少し温めのお湯は身体に残る倦怠感を溶かしてくれるような感覚。このまま、ずっとこうしていたいとも考える。
 もっとも、それは自分一人で入っている時だけに、だ。
「俺がしている時よりも、随分とイイ顔だな」
「!」
 背後から、揶揄する口調とともに、長い指が鎖骨のラインをなぞりあげる。
 パシャン! 大きな水音と共にアンジェリークの背が跳ね上がる。広めに作られたバスタブは二人が入っても十分な広さで、
アンジェリークはアリオスに背後から抱きかかえられている形でお湯に浸かっていた。
 身体を密着する形なので、アリオスの息が耳元にかかる。その度にゾクゾクした何かが背中を駆け抜けてゆく。それをわかって
いるのか、密着して離れてくれない。
「ん、ぅ……」
「どうした?」
 カリ…と甘く耳朶を噛まれ、入り込んでくるこの声にもどうにかされてしまいそうだ。
 着実にアリオスの手で変えられている身体。今まで知らなかった感覚に溺れさせられそうだ。
 今、この間にも、アリオスの手は悪戯にさまよい、気紛れに触れてくるのだ。触れるか触れないかの微妙なタッチは確実にアン
ジェリークの身体を振るわせ、水面に漣を起こさせる。
「も、やめ……」
 身体の中から沸きあがる熱は風呂につかったためなのか、アリオスのもたらしたものなのか自分でもわからなくなっている。
逃げたいはずなのに、身体はアリオスが生み出す従おうとしている。そんな矛盾が身体中に広がってゆく。
「あんまり長くつかると、のぼせちまうな」
 その言葉はまるで救いのようにすら聞こえる。だが、ホッと息をついた途端、抱き上げられる。
「え?」
「綺麗にするんだろ?」
 有無を言わせずに暖かいシャワーをアンジェリークに浴びせる。そして、ボディシャンプーを直接手にとり、泡立てるとその
まま、アンジェリークの身体を洗い始めた。
「いやぁ!」
「何がイヤなんだ? 俺がわざわざ綺麗にしてやってるだろ?」
「違っ……!」
 浴室に間断なく甘い叫びが響き渡る。身体を洗うとは名ばかりとしか思えないアリオスの手の動きはアンジェリークの僅かな
抵抗など意に介さない。
 直接触るのとはまた違った、ボディシャンプーのためにぬるりとして、滑りよくさまよう手の動きはアンジェリークの中の熱を
さらに煽るだけだ。
 堅く尖った胸の先端を掠めるたびにジン、と痺れるような感覚に支配される。もっと触れてほしい、そんな浅ましい感覚がある
ことを嫌悪しながら、それを望んでいる自分の中の矛盾。
(こんなの、私じゃない……!)
 そう思う少女特有の潔癖さの反面に身体はアリオスの手の動きに身を任せ、甘美な毒とも言うべき快楽を望んでいる。
「あ、んっっ……!」
 いつしか、バスチェアに腰掛けるアリオスの膝の上に座らされて。足の爪先から、丁寧に洗われてゆく。アリオスの手は爪先
からゆっくりと上がってゆく。
 そして、太股に辿り着くと咄嗟に閉じようとする足より先に大きく開いてしまう。
「や、ダメ!」
「何がダメなんだ? ほら?」
 耳朶を甘く噛まれ、胸の蕾を摘まれれば、弱々しい抵抗など霧散してしまう。
 ゆっくりと太股を洗うと、とうとうアリオスの指は少女の中心に辿り着いてしまった。
「ん、やぁ……!」
「だから、何がイヤなんだ? ここは随分待ち望んでたんだろ」
「うそ、そんな……」
 頑なに快楽をこらえようとするのは、まだ経験が少なくその先を無意識に怯えているから。

 探さないで下さい……。

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