それから時折、ルヴァは少女の夢を見た。少女と出会う場所は色々。執務室だったり、私邸の
居間だったり、釣りの最中だったり。いつも鈴の音のような可愛い声と元気な足音で存在を知ら
せてくる。
「ルヴァ様」
ルヴァから見る角度が逆光に遮られているせいか、それとも、彼女自信の輝きのためか、目
覚めたときにはいつも少女の姿はおぼろげにしか覚えていない。けれど、ルヴァに語りかけて
くる少女はいつも笑顔。それが一番の印象である。そして、心地よい輝きにいつも包まれている。
それはルヴァの心に穏やかな灯をともしてくれる。それは不思議な心地よさをともなった感覚と
共に。
「どうかしましたか、ルヴァ様?」
のぞき込んでくるまっすぐで綺麗な瞳。
「あ…あの、な…なんでもないんです」
あわててドキドキしてしまう。少女がもたらしたこの感覚はなんと呼ぶのかは分からない。
けれど、決して嫌ではない不思議な感情。心が満たされて行く。
「あ…そろそろ時間だわ。じゃ、行きましょ。ルヴァ様」
「え……?」
いつも少女はルヴァが戸惑う隙もなく、軽い足取りで駆けてゆく。
「あ…ま、待ってください!」
ルヴァが呼びかけても少女は振り向かない。その時のルヴァはいつも、釣竿だの、本だの、
書類だのを抱えて、すぐには動けなくて。
「あ……。」
少女が去った後で感じる胸の痛みと喪失感。見送るだけしかできない自分に対しての、複雑な
気持ち。
(私は…あなたのことを何も知らないのに…あなたは私を知っている……。あなたは…誰なん
ですか? どこにいるんですか? どうして…私はあなたを知らないのに、懐かしい感じがする
んでしょう?どうして…こんなに胸が痛むんですか……?)
分からなくなってしまう。本を読むことでたくさんの知識を得たはずなのに。この感情だけは
分からない。堂々巡りの感情の迷路に迷い込んで…ルヴァの夢は繋がれてゆく……。
夢でしか会えないって、ある意味切ないのかも。ごめんね、ルヴァ様。
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