言いたいことをちゃんと言って、いつものとおりにレヴィアスと会話をしてから、アンジェリークはレヴィアスの
部屋を出た。
 部屋の外では心配げな顔のカインが立っている。
「どうしたの? あたしがレヴィアスに殴りかかるとでも?」
「いえ、そういうわけでは……」
「安心しなさいよ。レヴィアスがあんまりあたしを甘やかそうとするから、それを咎めに着ただけよ」
「……」
 アンジェリークの言葉にカインは一瞬唖然とし、それからプッと噴き出した。
「何がおかしいの?」
 不満そうにアンジェリークがカインを見つめる。
「いえ、あなたの前ではレヴィアス様も子供同然ですね……」
「子供じゃない。ちゃんと大人なのに、時々常識が通じないし。…お金持ちの常識とあたしとの常識はかけ離れ
てるかもしれないけど、それもあんまりに過ぎるとね〜」
「あの方はある意味世間を知られていませんから。ずっと、駆けて来た方ですからね……」
「なぜに過去形なわけ?」
「え?」
「え?じゃないわよ。『駆けてきた』って、丸々過去形じゃない。まるで今は駆けてないみたい。レヴィアスって
まだ若いでしょ? そりゃ、あたしに比べたら、おじさんだけど」
 あんまりといえばあんまりな物言いにカインは苦笑した。
「……今はあまり無理をさせないようにしてるんですよ。お身体を崩しておられるので……」
「あ……」
 カインの言葉で、ようやくレヴィアスの部屋の薬のにおいに思い当たった。
「レヴィアス、どこか悪いの?」
「……」
 アンジェリークの言葉にカインは曖昧に笑う。
「何か、ごまかしてるわけ?」
「いえ……」
「じゃあ、どうしてはっきり言わないの?」
「あなたはあくまでも、レヴィアス様のお客人に過ぎないからですよ」
 きっぱりと言い切ったカインの口調は柔らかいが、きっぱりと跳ね除ける何かがあった。
「……そうよね」
 あくまでも、アンジェリークは遊びに来ているだけの存在だ。そこまで踏み込むわけにはいかない何かがあるに
決まっている。アンジェリークは思い上がっていた自分を恥じた。
「あたし、レヴィアスの邪魔?」
 知らなかったとはいえ、病気で仕事をセーブしているレヴィアスの元に遊びに行くのは非常識すぎたのかもしれ
ないと、途端に不安になったアンジェリークはカインに尋ねてみる。すると、カインはゆっくりと首を振った。
「いえ……。あなたが訪れるのをレヴィアス様は楽しみにしておられますから」
「そう、よかった……」
 ほっと、アンジェリークは安堵の笑顔を浮かべた。


……。まぁ、こういうカインもありということで。キーファーの方がよかったかな?


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