最近、自分の周りが変わり始めている。…しかも、偶然とは思えない出来事ばかりで。レコーディングスタジオの
設備が物足りないと思ったら、最新鋭のスタジオとスタッフを用意されている。社長やマネージャーに聞いても、当人
たちもよくわかっていないらしい。
 仕事に弁際は駆るからと、身体を要求してきた嫌なプロデューサーはなぜだか左遷されていて。そして、今日の
コンサートは……。
「レヴィアスってば、物事の限度を知ってるのかしら……」
 会場にバラを送ってくれる約束をしてくれた。だが、それはレヴィアスを招待したコンサートの会場だけだと思って
いたのだ。だが、どのコンサート会場にも大量のバラが届けられている。
「アンジェ! すっかり、あの方のお気に入りだな!」
 でかした!とばかりに笑う社長をアンジェリークは苦々しく思う。気に入られる=有力なスポンサー(といえば聞こえは
いいが、パトロンだ)を得たと思っているのだろうから。
「冗談じゃないわよ……」
 レヴィアスとは対等に向かい合いたいから、そんなのはごめんだ。
「ねぇ、ツアーが終わったら、総帥さんのところに行きたいんだけど。お礼を言いに行きたいの」
「ああ。行っておいで。これからもよろしくとくれぐれも言うんだぞ」
「うん」
 誰が言うかと心の中で毒づきながら、アンジェリークは罪のないバラを手にとって、軽くため息をついた。


 ツアーの最終日も無事に終わり、アンジェリークは久々のオフをもらった。
「じゃあ、行ってくるから」
「ああ。粗相のないようにな」
 オフといっても、レヴィアスに会いに行くためにスケジュールをあけただけだ。まぁ、それでも他の誰かに会うための
オフよりはずっといい。
 タクシーに乗って、アルヴィース財閥の本社に。
「よ、アンジェちゃん、久しぶりだな」
「お久しぶりです。これ、ツアー先のお土産です」
「俺たちにも?」
「口に合えばいいんですけど」
「ありがとうな!」
 すっかり顔なじみの警備員にお土産を渡し、最上階にあるレヴィアスの館に向かった。
「あら、いらっしゃい。アンジェリーク」
 身分証明用のパスを使って、屋敷の中に入ると、メイド頭のマリアがにこやかに迎えてくれる。
「お久しぶりです、マリアさん」
「いえいえ。コンサート、兄やジョヴァンニと言ったけど、良かったよ〜」
「ええ、来てたんですか? 行ってくれればチケットも用意したのに〜」
 マリアはこのレヴィアスの館のメイド頭であり、また、レヴィアスの部下の一人のゲルハルトの妹である。気さくで
豪快な女性なので、すぐにアンジェリークと気があった。
「いいの。あたしたちが見に行きたかったんだから。レヴィアス様に会いに来たんだろう?」
「うん。ちょっと急ぎの用が、ね」
「あんたの様子だと、何だか穏やかなことじゃないね。ま、言うときはガツンというんだよ!」
「うん」
 そんな会話をマリアとしていると、カインが階段を下りてくるのが見えた。



オリキャラでメイド頭のマリア…。ゲルハルトの妹なので、結構豪快な女性です。勝気なアンジェと息が合うようです(笑)


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