| いつもの通りに高層ビルの最上階にあるレヴィアスの館に向かう。けれど、今日はいつもと違って、気分が晴れない のも事実だった。 (昨日、ジョヴァンニさんにあったから、聞いてるんだろうな……) レストランで二人きりの食事、をしているところを見られている。ある程度の事情は察せられてるのかもしれない。 (面と向かって、これからは来るなとか言われたらどうしよう……) ある意味、軽蔑されても仕方のないことをしている。けれど、レヴィアスにだけは軽蔑されたくなかった。都合のいい話、 だ。レヴィアスは大財閥の総帥なのだ。アンジェリークが彼にとって、路傍の石であってもおかしくない。飽きたら、すぐに 取り替えの聞く存在なのかもしれない。 (やだ、凹みそう……) 自分で考え始めたことだが、結構精神的なダメージにはなった。最上階へのエレベーターにつくまで、アンジェリークは 悶々と自分の考えに取り込まれることになった。 「……こんにちは、レヴィアス」 「ああ」 呼び出した割にはあっさりとした受け答え、だ。やっぱりもう来なくてもいいのかなぁ…などと考えてしまうと自然とアンジェ リークの表情も曇りだす。しばらくの沈黙の後、口を開いたのはレヴィアスだった。 「ずいぶんと不機嫌なようだな……」 「……別に」 問いかけの言葉に対して、自分でもぶっきらぼうだと思う。レヴィアスに呆れられてしまったのかもしれない。そう思った けれど、どうしようもなかった。それに、レヴィアスをごまかせるはずもない。彼はアンジェリークが知るどの大人よりも、 ちゃんとした大人だ。 「レヴィアスに対してじゃないから。気に障ったら、ごめんなさい」 「スケジュールが押しているところを、無理に呼び出したのは我だ。お前が謝ることではないだろう?」 言い訳に聞こえてしまうだろうか? と思って口にした謝罪に対し、レヴィアスはそう答えてくれる。そうなじゃないのに。 レヴィアスは悪くない。今もこうして、読んでもらえたからこそ、不快な男を相手にせずにすんだのに。アンジェリークは ゆっくりと首を振った。 「ううん。レヴィアスが読んでくれって言ったのなら、うちの社長は何を置いても行けって言うもの。あたしも、レヴィアスと 話してると楽しいし」 そう、レヴィアスと楽しい。最初はアンジェリークの知る大人たちと同類に思っていた。けれど、レヴィアスはそんな大人 たちと一緒にしたら、失礼なくらいだ。アイドルとしてのアンジェリークではなく、一人の人間のアンジェリークとして、大人の 立場で接してくれる人。 「今日はエロ爺なプロデューサーのところに行かされるところだったし。レヴィアスが呼んでくれて、助かったわ」 声が震えているのを抑えられない。こんなことをいいたい訳じゃない。けれど、一度、堰が崩れ去ってしまえば、感情のまま 唇は動き出してゆく。 「新しいアルバムのプロデュースをしてやるって。そう言って、身体に触ってきたわ? お互いのことをよく知らなければいい 物は作れないから、ホテルの部屋を取ってるって……」 軽蔑されてしまうだろうか? 自然に震える身体を押さえるようにアンジェリークは自分の身体を自分で強く抱きしめた。 「……どうして、こんな思いをしてるんだろう、あたし。ただ、歌うことが好きだったはずなのに……」 歌いたくて、自分の声が自分以外の世界に人間にどこまで届くのかを試してみたくて飛び込んだ世界は。どろどろに醜い ものがあって。その醜さに侵されない様に頑張ってきたけれど。 「あたしはただ歌いたかっただけなの……。ただ、それだけで良かったのに。夢…かなったはずだったのに……」 理屈ではわかっているし、わからされていたけれど。それでも納得できないもの。レヴィアスに言ってみたところで、わかって もらえるという保証なんてない。ただ、聞いてもらいたかったのかも知れない。 |
次のシーンが書きたいのですよ〜。この話のレヴィアスは本当に大人の人にかけたらいいな……。