今日もいつものようにアンジェリークはレヴィアスの下に遊びに来ていた。いつも色々持って来るアンジェリークで
あったが、今回はひどくレヴィアスを戸惑わせた。
「これは何だ?」
 差し出された小粒の小さな物体にレヴィアスは戸惑うしかなかった。
「甘栗も食べたことないの?」
 あきれたようにアンジェリークが問いかける。いつものようにアンジェリークが遊びに来ては差し入れてくるものは
レヴィアスにはわからないものばかりだ。この間は地方のコンサートでお土産にと買ってきたびいどろを差し出され、
戸惑ったものだ。瑠璃色のそれは色鮮やかではあったが、実用的ではなく、薄いガラス製のそれをどうしたものかと
レヴィアスは戸惑うしかなかった。
『これはね、こうするのよ』
 自分用にと買ってあったのであろう、びいどろを手にすると、その中に息を吹き込む。すると、ペコンと言う音が勢い
よくなった。
『……意味があるのか?』
『楽しくない? それに綺麗でしょ?」
 あっけらかんと笑って差し出すアンジェリークにレヴィアスも断る理由などはなく。そのまま受け取った。それは
レヴィアスの机の上に鎮座している。カインが初めて見た時は戸惑っていたと言う。
「まったく、レヴィアスってば育ちがよすぎるのよ。これは甘栗。美味しいわよ」
「……栗と言うものは黄色だろう?」
「あきれた。剥き栗が当たり前だと思ってるの? 栗はね、イガの中に入ってるって知ってる?」
「……そうなのか?」
「レヴィアスって、世間知らず?」
 愕然としつつもアンジェリークは甘栗の皮を剥いてやる。簡単にむけたそれをレヴィアスの手に乗せてやった。
「で?」
「食べてみてよ、美味しいから」
「……」
 言われるままにレヴィアスは口の中に入れる。食べなれない栗の味がするが、悪くはないと思った。
「悪くはないな」
「でしょ? もっと食べる?」
「ああ」
 そう言うと、レヴィアスはじっとアンジェリークと甘栗の袋を見つめる。
「自分でむけないの?」
「むいてくれるのではないのか?」
 レヴィアスの言葉にアンジェリークは絶句する。
(この人って、天然なのかなぁ……)
 尊大な態度でこられたのなら、殴ってやろうと思うのだが、レヴィアスの場合は巣でやってるとしか思えない。だから
こそ、ひどい脱力感に襲われる。
「もう、本当に育ちがいいのね〜」
「我がか?」
「やっぱり、天然ね……」
 それでも、子供のように自分が甘栗を出すのを待っているレヴィアスがなんだかとても可愛い。ずいぶんと年上で
あるはずなのに子供のようで。それがとても可愛くて。
「何がおかしい?」
「何でもないわよ」
 くすくす笑うアンジェリークにレヴィアスは怪訝そうな顔をする。だが、それでも笑いをこらえきれないアンジェリークで
あった。


甘栗食べたい……。そんなことを考えながら、書いてました。ああ、このレヴィアスはまだまともでいいなぁ……。


‖<TOP>‖ <11> ‖ <13> ||