「俺が何を知っていると言うんだ……?」
 森の言葉に竜は不審そうな眼差しを向ける。けれど、妙に心が騒ぐのも事実。
「俺が言うことでもないんだがな。おまえさん、あの宇宙人を相手にしたとき、妙にぎこちなかっただろ?」
「……!」
 自分の同様を悟られていたのに驚愕する。そんなそぶりは見せないようにしていたのに。
「おまえ…あの宇宙人に会ったんじゃないのか?」
「俺が…どうして?」
「様子がおかしかったのは…妙な既視感が会ったからだろうって、雷が分析してた」
「雷が……?」
 食べ終えたお握りの袋をビニール袋に入れると森は見透かすような瞳をする。
「ライは新米だし、天然なところはあるが、一応は俺たちと違ってプロの刑事だ。そう言うところは見逃さないんだ」
「……」
「時空の不自然なゆがみは時空自身の修正作用が聞くとも言ってた。そのために、おまえがそのことを忘れているかも知れない…とな」
「何故、俺がわかると思うんだ」
 森の言うことはわかる。だが、知らないものは知らないのだ。だが、森は容赦なく言葉を続ける。
「おまえ…昔っから、ここに出入りしてたんだろ? 朝日山校長に聞いたぜ」
「俺がここに……?」
 不意に視界が揺れる。この場所を見つけたのは…中学三年の受験の頃。あの時…初めて炎と会った場所。その筈だ……。
(……いや、違う。懐かしく感じた。この場所を。それは……?)
 何故、私学である山海高校を受験したのか。本当は公立の方が良かったはずなのに。そこに行かなければならない気がしたのだ。それは
…何故なのか……。この場所は受験の非に見つけた。いや…自然に足を運んだ。まるで知っていたかのように。

「あ……?」
「竜?」
 混乱しているであろう竜に森はまずった言い方をしたか…と思ってしまう。だが、そんな森の呼びかける声も竜には届かない。
(赤い…何かが……)
 赤くゆらめく不思議な記憶。それは何なのか……。あの宇宙人が出たときに、炎の背中を見て奇妙な既視感を覚えたのは何故か。
「……!」
「お、おい。竜」
 ふらふらと歩き出す竜にあわてて声を駆けるが、竜はすたすた歩き出す。まるで何かに魅入られたように。
「……仕方ねぇなあ。次の授業はパスだな」
 そう呟くと、森は竜の歩いてゆく方向に着いていった。



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