穏やかな光が注ぐ庭園。一見、無造作なようでいて、丁寧に手入れされた庭園には色々な花が咲き誇っていて。蝶が花々の
周りで踊ってさえいる。
「♪」
小さな天使は嬉しそうに庭園ではしゃいでいる。この庭園はクラヴィスの館の中にあり、来客がほとんどないクラヴィスの館の
中でも静かな場所の部類に入る。最近、日中はアンジェリークは外に出て趙たちと戯れる毎日を過ごしていた。
「アンジェリーク。私は館の中にいますから、お昼には戻ってきてくださいね」
リュミエールの言葉にアンジェリークはコクコクと頷く。リュミエールの姿が消えると、アンジェリークはパタパタと蝶の跡を追い
かけ始めた。
(あれが私と時を同じくして生まれた天使だと言うの……)
微かな気配を追って、人間界をさ迷い、ようやく見つけたのは、花々の中で蝶と戯れる小さな天使。それを陰から見守りながら、
ロザリアは呆然とする。まるで生まれたての赤ん坊だ。成長の兆しすらない。気配が微かなのも、その聖かもしれない。
(しかも、人間に姿を見られているじゃない。何て情けないのかしら。どうでもいいわ。連れて帰る必要なんて、ないじゃない……。
所詮は人間界ね。天界で育ったのなら、まだましだったのかもしれないけど)
人間にその存在を知られたら、どんなにまずいのかをあの小さな天使は知らないのだ。ロザリアはちゃんと気配を消していると
いうのに。
(所詮は私には及ばないってことかしら)
そう納得づける。天使としての自分に自信を持つロザリアはその分、自分にも他人にも厳しい。だからこそ、ロザリアはロザリアで
あるのだから。
「……」
ふと、蝶を追いかけていたアンジェリークの動きが止まる。そして、クルリ…と振り返る。その視線はロザリアに向けられている。
(私に気づいている?)
よく考えれば、当然のことである。微かな気配を辿り、、ロザリアは人間界までアンジェリークを探せたのだから、アンジェリークが
ロザリアの気配を感じないわけはないのだ。
「♪」
小さな花を1輪つむと、アンジェリークはパタパタとロザリアの元に飛んでくる。
(……か、可愛いかも……)
無邪気で愛くるしい笑顔。小さな手足をチマチマ動かす仕種はおもちゃのよう。柔らかな頬はプニプニとしていてそうで、つつきたく
なる衝動に駆られるのをなんとか抑える。
(は、そうよ、この子は私と同じ天使じゃない。私にはこの子を天界に連れ戻すという役割があるのだわ)
すっかり、どうでもいいと言った類の発言を忘れ去ってしまっている。今はこの小さな天使を連れ戻すと言う使命に、すっかりと目
覚めている。
目の前で、ふわふわと揺れる金色の髪は、この小さな天使をさらに愛らしく見せる。
(だ、ダメよ、ロザリア!)
必死で首を振る。だが、あどけなく見上げてくるエメラルドグリーンの大きな瞳。
「……♪」
「エ?」
小さな天使が差し出すのは小さな花。
「これを私に?」
コクコクと頷く。
「ありがとう……」
礼を告げると、嬉しそうにアンジェリークは笑う。それを見ると、ロザリアはクラクラする。あまりにも可愛らしいのだ。そっと手を
伸ばすと、フワフワの金の髪に触れる。
(お日様の匂いがする……)
あどけなく微笑むその姿はまるでお人形、ぬいぐるみと言った類にロザリアの目に見えているらしい。実際、リュミエールが用意
し、クラヴィスが選んで着せている服はフリルをふんだんに使った物が多いこともあって。
「アンジェリーク……」
自分を呼ぶそのロザリアの声に、アンジェリークはあどけなく、首を傾げた。
すみません。所詮はリモフリークの女が書くロザリアなんて、こんなものです……。だって、リモが可愛いんだもん(笑)
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