満ち足りた光に溢れ、色とりどりの花が咲き乱れる楽園。小鳥たちは様々な声で幸福の歌う。
ここは天界。神に使える天使たちが生まれ、生きる場所。本来、天使は神の命がないかぎり、天界を出ることはない。そう、よほどの
例外がない限り。
「私と時を同じくして生まれた天使が行方不明?」
天使たちが集う神殿の奥深くにある祭壇の前で、天使としての初の役割を与えられたロザリアはその役目の内容に戸惑う。
生まれてすぐに、天界から消えてしまった天使の卵を探すこと。
「お言葉ですが、それなら、もう目覚めて、成長しているのではないのですか?」
天使の成長は人間に比べると、きわめて早い。ロザリア自身も三か月前に生まれ、今は17歳くらいの少女の姿。
その姿はまるで華麗な青い薔薇を思わせる。立ち居振る舞いも生まれて三か月の天使とは思えぬほど、毅然とかつ、優雅で。天使
長であるジュリアスの覚えもめでたい。
「時を同じくして生まれる天使の存在というのは特別なものなのですよ」
天上界を司る女神に最も近しき存在である補佐官、ディアは静かに告げる。落ち着いたその物腰は全天使からの尊敬を集めており、ロザリアもまたその一人であったことはいうまでもない。
「私と女神も時を同じくして生まれた存在なのですよ」
柔らかな笑顔を添えて、ディアが語り出す。
天使は長命な存在故に出生率はかなり低い。時には、数百年に一度と言うこともある。そんな中、まれに時を同じくして、生命を
授かる天使たちがいる。対の存在とも呼ばれ、その天使たちは天界においても特別な存在となるのだとディアは告げた。
「迷い子の天使は人間界に降りたようなのですが、それ以後の行方が掴めていないのです。あなたはその子と時を同じくして生ま
れた天使です。何か探し出せるのかもしれません」
「……わかりました」
初の役割を恭しくロザリアは受けると、ディアは穏やかに微笑を見せる。
「あなたに女神の加護がありますように……」
その声は優しくロザリアの心に溶け込んでいった。
「でも、どうやって探せばいいのかしら……」
資料室で資料をできる限り探しては見たが、手がかりは見つからない。元々、時を同じくして生まれる天使の割合はかなり少ない
のだ。
(私と時を同じくして生まれた天使だというのなら、私の魂に近い存在なのかも……)
ディアの言葉を元に考えてみると、それが当然の結果となる。ロザリアは息を呑んで、精神を集中させる。深く、深く、心の中に。魂の源へと。そして――
まぁ、これはお約束でしょう。天使ロザリアの登場です。
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