| レヴィアスが出て行った後は彼等にはそれぞれの仕事がある。対外的な折衝や事務管理、様々な業務をそれぞれの 得意分野で活動している。最終的に屋敷に残るのはショナとルノーである。勿論、彼等は彼等で仕事があるのだが、新 しい仕事を再優先させることになってしまった。 「え、えっとね。これがウサギだよ」 「♪」 動物図鑑を手にたどたどしく説明するルノーにアンジェリークは嬉しそうに手をばたつかせる。その傍らにはたくさんの 動物の縫いぐるみ。どれもレヴィアスがアンジェリークのために用意させたもの。それの一つひとつをルノーが図鑑を手に 説明しているのだ。 アンジェリークの遊び相手というレヴィアス直々の命令はどちらかと言うと、ルノーに向いていたようだ。たどたどしくは あるけれど、判りやすい説明をアンジェリークは気に入ったようだ。その傍らでショナは書類を片付けている。 「ご、ごめん、ショナ……」 「別に謝らなくても……。アンジェリークは君に懐いてるんだから……。この仕事は君でも僕でもできるけど、僕じゃアンジェ リークを喜ばせられないし……」 嫌みでも何でもなく、事実だと思うことを口にする。 「で、でも。僕はただ遊んでるみたいで……」 「それが大事な仕事でしょう? もしも、手に余れば手伝ってもらうし。アンジェリークがお昼寝したら、手伝ってよ」 「う、うん……」 わくわくした瞳で次の説明を待ち侘びるアンジェリークにルノーは躊躇いながらも、楽しそうに説明を続けた。 二人が特殊任務(笑)に着いている間、メイドや使用人たちは折を見て、小さな子が喜びそうなお菓子や玩具を持って来る。 朝の挨拶事件で小さな天使の存在は屋敷の者中の知る所となった。もちろん、口止めはしている。 「仕事は失いたくないよね? 此処を首になったら、次のところではなかなか雇ってもらえないよ」 ニッコリとジョインニが彼等に告げたところ、誰もが頷かざるをえなかった。 ちなみにアンジェリークはレヴィアス専用の癒し系グッズだと説明されている。理屈は判らないが、小さな天使の機嫌は 損なわない方がいい。 「♪」 にっこりと嬉しそうに笑う小さな天使の前にはいかなる理屈も必要としない。主人の機嫌がいいにこしたことはないと判断 した彼等はある意味賢明過ぎる程に賢明であった。 時間と言うものは誰もに平等に降り注ぐ。ただし、それが早く過ぎるように感じるか、遅く過ぎるように感じるかは本人次第 である。 「まだ、12時か……」 もちろん。レヴィアスにとっては後者であったことは言うまでもなく。決済書類にサインをするたびに溜息を着く。傍らで 決裁済の書類を整理しているカインには欝陶しくて仕方ない。他の部下たちは必要最小限の用事がないかぎり会長室に寄り 付きもしない。 「レヴィアス様、昼食はウォン財閥の会長とお約束がありますから、屋敷には戻れませんよ」 「朝に聞いた。同じことを二度も言うな」 「ならば、そろそろお支度をなさってください。お車の準備をいたします」 一応は安心する。時間があれば、アンジェリークの元にジェットヘリを飛ばし兼ねないかと心配していたのだから。だが、 カインの危惧は別の意味で当たっていた。 「カイン……」 「何でしょうか」 「我の専用回線をテレビ電話に変えられないか?」 「……」 どうして、そんな突飛な考えが出来るのか。だが、衛生生中継で天使の様子を四六時中流されるよりはマシなのだと考えて しまう自分がひどく悲しい。 「ムービー写メールは料金がかかるだろうか?」 大財閥の総帥であればその程度の金額など何でもない。だが、携帯は首輪を付けられるようで嫌だと持ちたがらなかった レヴィアスが携帯を初めて自主的に持ちたがる理由がこれだと言うのはやはり部下としてはかなり悲しいものを感じた。 心ここにあらず、といったレヴィアスではあるが、仕事に関してはやることはきちんとしている分はましだろうとカインは達観 することにしていた。だが、現実はそう甘くない。 「カイン」 「何でしょうか、レヴィアス様?」 「アンジェリークは我がいなくても寂しくはないだろうか……」 「……」 前言撤回。一日目でこれである。テレビ電話の設置は何とか阻止したものの、昼食会の後、携帯(もちろん例のやつだ)を 二つ作り、屋敷に届けさせた。今頃はショナが取扱説明書を呼んでいるだろう。 (アンジェリークに関しては本当にどうしようもない方だ……) かと言って、引き離せるわけがない。これ程までにレヴィアスが執着を見せるのは初めてのことだ。後がどうなるかなんて わからないリスクに手を出せるわけがない。 少しでも手が開けば、携帯に視線を向けるレヴィアスに気付かれないようにカインは溜息をついた。 |
ムービー○メールがほしいなぁと思っていたら、つい……。来年当たり、機種変更しようかなぁ……。レヴィアスからしたら、
はした金なんだろうな(-_-;)
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