「で、誰がその子の面倒を見るの?」 現実的な問題をぶつけて来れるのも彼だけである。周りの人間は恐れていえなかったことを、だ。 「我が拾ったのだから、我が見るべきであろう?」 「でも、レヴィアス様にはお仕事がありますよ? この子を連れて、お仕事はできないでしょ?」 そのショナの言葉に思わず想像してしまう光景。あの強面の表情で小さな天使を抱きかかえ、仕事をするレヴィアスの姿。かなり、 怖いものがある。 「わ、笑うなよ。ゲルハルト」 「お、おまえこそな」 こういう時は思いっきり笑いそうになるか、その考えの怖さに何もいえないかのどちらかしかない。 「ふむ、我が仕事をしている間か……。一応は部屋に遊び道具でも用意はさせておくが……」 じっと、あどけなく見上げてくる瞳。無条件に信頼を寄せていて。この愛らしい天使を一人にするのも、忍びない気がしてくる。 「僕とルノーで面倒を見るって言うのは駄目ですか?」 「ショナ?!」 天才的な頭脳を持ちながら、何事にも無気力、無関心なショナの発言にレヴィアス以外の誰もが顔を見合わせる。 「僕とショナは表立っての仕事じゃないし……。お屋敷での仕事だから、目は届くと思うし。それに天使ってのが、どういう生態を見せる のか、興味あるから……」 まるで、実験材料に対するような言葉。だが、それがショナの言い方であることは誰もが承知している事。 「レヴィアス様。ショナは頭がいい子供ですし、ルノーは素直な子供です。任せても大丈夫では……」 「ふむ……」 カインの進言にレヴィアスはアンジェリークに視線を向ける。 「どうする、アンジェ? 我がいないときに先ほどのルノーとこのショナと共に我を待てるか?」 その言葉にしばらく考える顔をするが、コクリと頷く。案外、周りの会話の流をわかっているのかもしれない。そんな気がする。 「ルノーはともかく、そっちの情緒欠陥の坊やで大丈夫?」 ジョヴァンニのその言葉にさほどショナは関心を示さない。ある意味、真実のことを反論するだけ無駄だと思っているらしい。 「おまえに任せるよりはマシだろう」 「それって、ひどい言い様だよ、カーフェイ?」 「これも本当のことだ」 ジョヴァンニとカーフェイのそんなやり取りをアンジェリークは不思議そうに眺めていた。 「では、ショナ。我がいない間はルノーと共に見てやってくれ」 「わかりました」 変わらずに淡々とした様子。だが、一人で淡々と物事をこなそうとする彼の普段の姿と比べると、はるかに驚きである事も事実。 「ま、可愛いもんね〜」 無邪気な瞳ほ無条件に心を和ませるもの。当人に自覚がないのなら、なおさらの話。 「私は認めませんからね」 そうキーファーが言い切ってみたところで、何の意味も持たなくなっている。彼にしてみれば、こんな姿が外に漏れたら、財閥の総帥と してのレヴィアスの威厳やカリスマ性が地に落ちてしまうと言ったところである。 「言っても無駄だろ? 本当に邪魔になると思うのなら、最初から拾わないんだし」 カーフェイのその言葉はキーファーには、何の慰めにもならなかったことは言うまでもないことだった。 「アンジェリーク。とりあえず、この者たちが我の部下だ。この館にすんでいるのだから、おのおのと顔と名を覚えていけばいい」 その言葉にコクコクと頷くアンジェリーク。先ほどから見ていると、言葉は話せないようだが、他人の言葉はある程度理解できるだけの 知能はあるらしい。そして、表情と仕種である程度の意思までは伝えられるようだ。 「案外赤ん坊のまんまってわけじゃないんだな……」 見た目は赤ん坊サイズな外見なので、ちょっと戸惑ってしまうゲルハルト。彼の中での赤ん坊の認識は泣くのが仕事というものである。 「赤ちゃんと幼児の間くらいの頭脳かな……」 ショナの冷静な分析は彼の外見上の幼さと相反していて。アンジェリークと足して2で割ったらちょうどいいかもしれない。何となくそう 思ってしまったカインであった。 「こんなものでよろしいでしょうか?」 「我に聞いても、仕方なかろう? どうだ、アンジェ?」 屋敷は広く、空き部屋は沢山あるので、アンジェリークの部屋自体は簡単に用意できた。だが、器が用意できても、問題は中身なのだ。 男所帯の中でこの部屋だけが奇妙に浮いていたら嫌かもしれない…と、口には出さずに心の中で思うカーフェイである。 |
私のひいきがでちゃってますね……。クス
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