「アンジェリーク、そなたはそれでいいのか?」
「……」
 ジュリアスの問いかけにコクリと頷くアンジェリーク。けれど、その表情はどこか暗く、沈んでいる。そんな顔を
見たことがなくて、ゼフェルはそっとアンジェリークに呼びかけてみた。
「アンジェ……」
 声を変えると、不安そうに揺れる瞳。こんな顔をさせたのが自分だと思うと、妙な罪悪感に襲われる。
「帰ろう」
 手を差し伸べると、アンジェリークはそっとその手を掴む。いつもだったら、飛びついてくるはずのアンジェリーク
なのに、だ。
「アンジェリーク?」
「お前さんがお嬢ちゃんを置いていくからだろうが。おびえてるんだ、またおいていかれないかと、な」
「何だよ、それ……」
 オスカーの言葉にゼフェルは怪訝そうな顔をする。
「お前に嫌われたかと思ってんだよ。だから、ぎゅっと抱きついたり出来ないんだよ。お前に嫌われて、またおいて
いかれるんじゃないかと不安になって、な」
「え……?」
 自分の手を握るアンジェリークの手は、振り解こうと思えば簡単に振りほどける弱さだ。いつもだったら、ぎゅっと
しがみついて離れないのに。それがアンジェリークの不安なのだと思うと、ゼフェルは胸が締め付けられそうな気がした。
「悪かった……」
 自然と口をつく謝罪の言葉。こんな風に態度で示されるまで、アンジェリークがそれほどまでに不安になっている
とは思ってはいなかったのだ。
「……」
 それでも、アンジェリークはふるふると首を振る。ぎゅっと唇をかんで。悪いのは自分なのだと言わんばかりの表情。
「んな顔するなよ……」
 いまさらながらに後悔ばかりが胸を占めてゆく。いつまでも、自分に抱きついてこないアンジェリークをそっと抱き
寄せる。
「……」
「馬鹿だな……。馬鹿なのは俺なのか?」
 そっと抱っこしてやると、小さな天使はゼフェルのシャツをぎゅっとつかんで。
「……」
 ぽろぽろと涙を流す。声にならない、言葉を話せない天使の無言の訴え。『離れないで』、『行かないで』と、訴えるか
のように……。
 ジュリアスもオスカーもマルセルもそれ以上は何もいうことも出来ないままであった。

置いていかれるのはかなりアンジェにトラウマのようですorz

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