小さな天使にたたき起こされる形になって、寝不足気味なので、ゼフェルはシャワーを浴びてから、朝食を取ること
にする。天使は執事に顔を表せて置いてもらった。一緒にシャワーだなんて、手間と暇と神経を使いすぎてしまう。


 そして、朝食。ミネラルウォーターと栄養補助食品をかじりながら、ゼフェルは目の前の天使が美味しそうに
パフェをを食べているのを見つめている。
(どこに入るんだ……?)
 コック特製のデラックスパフェだ。果物とアイスクリームをふんだんに使っている。それをパクパクと幸せそうな
表情で食べているのだ。見ているだけで胸やけがしそうだ。
「……」
 欲しいの?と、アンジェリークが目で問いかけてくる。水と栄養補助食品で済ましているのが不思議でたまらない
らしい。
「いらねぇ……」
「……」
 途端に悲しげな顔をする。
「可哀想に……」
「俺が悪いのかよ!」
 召使達はすっかりアンジェリークも味方だ。悲しむ顔をさせるゼフェルが悪いということになっているらしい。
「俺はこれが好きだから、食ってんだ! おめーはそれが好きなんだろ? 食うわけにはいかねえだろ」
「……」
 そうなの?と言う顔をする天使にゼフェルは適当に頷く。いつもは三分で済むはずの朝食が倍以上の時間が
かかってしまうことになってしまった。


 朝食が終われば、出勤時間になる。
「じゃあ、行って来るから」
「行ってらっしゃいませ」
 いつもの挨拶だ。主人が聖殿に向かう時の日常風景。だが……。
「♪」
「美味しいお菓子をコックが用意しておきますから。腕を振るいますので、楽しみにしてくださいね」
「〜♪」
 ゼフェルの頭にしがみついたアンジェリークに執事はにこやかに告げると、嬉しそうに天使は羽をパタパタさせる。
「こら、おとなしくしてろ!」
「♪」
 注意してみても、ゼフェルがかまってくれるのが嬉しくて仕方ないらしい。ゼフェルは軽くため息をついて、深くは
考えないようにする。
 小さな天使を頭に載せたままで聖殿に向かうので、いつもよりは早い時間に。誰とも会わないようにと、足早に。
「〜♪」
 すばやく過ぎてゆく景色に天使は喜びの声を上げた。

出勤光景……。

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