ぱたぱたぱた。羽音に集中力を奪われそうな気がする。それでも、ゼフェルはメカを細工する手を休め
なかった。ここで、気にしたら、負けである。
「……」
ぱたぱたぱた。ぱたぱたぱた。ぱたぱたぱた。
「……」
羽音はさらに続く。気にしない、と心に決めたのだ。
ぱたぱたぱた。ぱたぱたぱた。ぱたぱたぱた。さらにぱたぱたぱた。
「ああ、もう、おとなしくしやがれってんだ!」
…ゼフェルに忍耐力を期待してはいけない、とはルヴァの格言であったのか否か。
「?」
怒鳴られた小さな天使はきょとんとゼフェルを見つめている。全然効果はないようだ。夕食後、メカを
いじろうと地下室にこもろうとするゼフェルの後ろを小さな天使は当然のようについてきた。
『私たちだとその、嫌がられるようで……』
申し訳なさそうな執事たちの顔が今でも脳裏に浮かぶ。執事に預けようとしたら、ゼフェルにしがみ
ついて離れなかったのだ。引き離そうとすると、うるうると泣きそうな表情。これには硬直し、引き離しては
かわいそうだという結論に至ったらしい。
(俺はかわいそうじゃねえのかよ……)
つれて北はいいものの、やっぱりメカの開発に専念したい。そう思って、色々いじってみていると、小さな
天使は落ち着きもなく、飛び回っている。絶対に触るなと言い聞かせているから、興味深く見ていても、
触ろうとはしていない。ここはほめてやるべきだろうが。ぱたぱたと飛び回られるのはやはり鬱陶しくて
仕方なかった。
「どこにいてもいいから、おとなしくできないのか?」
「♪」
ゼフェルの言葉をどう解釈したのか、アンジェリークはゼフェルの頭の上にしがみつく。
「こら!」
「♪」
こうなると、もう離れない。確かにパタパタと部屋中を飛び回ることはないが鬱陶しくて仕方がない。
「……風呂にでも入るか」
水でもぶっ掛ければ、おとなしくなるかもしれない。もはや、彼の頭の上にあるのは天使ではなく、厄介な
ペット状態だったらしい。
それでも、ゼフェルはかわいそう……
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