「んっ…う……」
 いつもより強引に重ねられる唇。息苦しさにわずかに唇を開けてみると、すかさずセレストの舌が入り込んできた。躊躇うことなく、それを受け止めて、ぎこちなくではあるが、自分の舌を絡めて。深い深い口付けを享受する。
「ふ、っ…ん……」
 口付けだけで、否応なく高まる体。自分の体が自分のものではないかのような錯覚にすら陥る。それはセレストも同じようで、カナンの太股には既に堅くなりつつあるセレストの熱が押しあてらていた。
「ん…ふぅ……」
 唇を塞がれたまま、セレストの手はカナンの体をまさぐってゆく。いつもよりも乱暴に服をはぎとられ、素肌を露にさせられる肌に触れる。セレストの指はどこか熱くカナンには感じられた。
「ひっ、あ……」
 既に尖っていた胸の飾りに軽く触れられただけで、身体は跳ね上がる。そこから走った快感は身体中を走り、中心へと熱をこもらせていく。いつもよりも過敏なカナンの反応。その痴態にセレストも煽られる。もう片方の飾りを口に含み、ねっとりと舌を絡め、軽く歯を立てる。
「あ、あぁ…っ!」
「いつもよりも素直、ですね。カナン様……」
「ば、馬鹿! ひゃっ?!」
 揶揄するようなセレストの言葉に抗議の声を上げようとするかなんであったが、開いているもう片方の手ですでに熱くなった中心を握られてしまい、身体を硬直させる。軽く手を動かしてみれば、それだけで達してしまいそうになる。
「カナン様、もう、こんなに……」
「…あっ…う」
 カナンの中心は既に立ち上がり、とろとろと先端から滴をにじませている。セレストはそれをすくうように、先端を指先で刺激する。 クチュリ…と、先端から滲む先走りを指先でなじませるかのように鈴口をなぶられると、カナンは大きく身じろいだ。
「や…駄目っ……っ!」
「こんなになさってるのに?」
 フッと息を吹きかけられる。それすらも、今のカナンには大きな刺激だ。熱いからだがもどかしいのに、弱い刺激ばかりでは身体の熱をあおられるばかりで気が狂いそうになる。 
「もう、駄目……。セレスト…ッ……」
「そのようですね……」
「馬鹿、者……」
 セレストの余裕ぶった声が悔しい。自分だって、身体が熱くなっているであろうに。手が届かないから、せめて足で仕返しを、と。セレストの熱くなっているである場所を探ろうとすると、布越しでありながら、そこの熱さにカナンは驚いた。いつもよりもずっと熱い気がする。セレストの興奮をそれだけ表しているようで。
「あ……」
「おいたはいけませんよ、カナン様……」
 そういうや否や、セレストはすでに限界寸前のカナンの中心を口に含んだ。
「ひっ、や、やだ……。それ……」
 ねっとりとした口内に含まれて、カナンはじたばたともがく。口淫はカナンが最も嫌がる行為だ。仕返しをすると言っては、はばからない。されてしまうのはとても恥ずかしくてたまらない。自分だけがおかしくなる感覚になる。だが、今のカナンには抵抗の仕様もない。感じすぎている身体では抵抗する前に、快楽に流されそうになる。
(…薬の、せい……?)
 いつも以上に感じている身体には強すぎる快楽は辛い。それなのに、セレストはカナンの感じる部分を煽ってゆく。ねっとりと舌を絡め、痛くない程度に軽く噛まれて。先端を舌でなぶられれば、もう甘い声しか上げられなくなる。カナンに出来ることは、弱弱しくセレストの髪に手を差し入れて、かき乱すだけである。
「もっ、駄目……」
 限界を訴えるカナンの意図を汲んで、セレストはより強い刺激を与える。
「あぁーっ!!」
 頭の中が真っ白になったのと同時に、カナンはセレストの口内にすべてを吐き出してしまった。


ごめんなさい、ごめんなさい……

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