つれてこられたのはアリオスのために用意された部屋。少しの家具とベッドだけしかない。
「きゃっ……!」
 アリオスはアンジェリークを抱えたままベッドに腰掛ける。当然、アンジェリークはアリオスの膝の上…と
いうことになる。

「どうして……?」
 今更ながらに混乱する。転生したのなら…前世の記憶などあるわけがない。そうでなければ、混乱を
生じさせる。

「何がだ?」
「あなた…アリオス……。私のこと……」
 それ以上は言葉にならなかった。痛いくらいにアリオスが抱きしめてきたから。
「あ…アリオス……!」
「ずっと…こうしたかった……。俺の天使……」
 その言葉に身体から力が抜ける。こらえていたものが崩れ落ちる。
「ごめんな……」
「?」
 アリオスの言葉にアンジェリークは首を傾げる。
「どうして? あなたを救えなかったのは私なのに……。」
「違う。俺が臆病だっただけだ。おまえは何も恐れちゃいなかったのに……。おまえの手を取るのが恐かった
から……」

 身体を離して、アリオスがアンジェリークの手を取る。
「ごめんな……。おまえを苦しめてしまって……」
 その言葉にアンジェリークは首を振る。欲しいのは謝罪の言葉じゃない。彼の幸せだけなのだ。
「俺がおまえのこと、覚えてるのに驚いていたな。俺がそう望んだんだ。おまえを探すのにはおまえを覚えて
おかなきゃ、無理だろう?」

「アリオス……」
「この宇宙に導かれる前…おまえの故郷の女王とエリスに言われた、『幸せになれ』って……」
「女王陛下とエリスさん…が……?」
 戸惑うアンジェリークの手に愛しそうにアリオスは口づける。
「もう…おまえを独りにするなって……。だから、俺はここに来た。おまえをもう二度と独りにしないために……。
そして、おまえを幸せにする
ために……。いや、二人で幸せになるために……」
「嘘……」
 声が震える。夢…ではないかと思えるほどに信じられない現実。
「嫌…か? それなら…俺はいつでもおまえの前から姿を消す」
「嫌…じゃない……。消えないでよ……」
 声が震える。自分の手を取るアリオスの手が夢のようで。今にも消えてしまうのではないかと思う。だが…この
暖かさは夢ではない。

「アリオス……」 
 アンジェリークの瞳から水晶の輝きがこぼれ出す。ずっとこらえていた。けれど…もう、止めることはできない。
「アンジェリーク……」
 アリオスは優しく愛しい天使を抱きしめる。もう…触れることなどできないとあきらめていた。けれど…今、この
腕の中に天使がいる。

「もう…独りにしないで……」
 泣きじゃくりながらの天使の言葉。それは彼自身の思いでもある。
「莫迦…頼まれたって独りにしねぇよ……。」
 そう…もう手離せるわけがない。この腕の中の愛しい少女を。
「愛してる…アンジェリーク……。」
 その言葉と共に優しく唇が重なる。確かな温もりと確かな思いを伝えるために。
「私も…愛してる……」
 アリオスの背中に回した腕に力を込める。彼が消えてしまわないように。もう…独りにならないために。
「もう…離さないからな……」
 その言葉にアンジェリークはうなずく。こぼれる涙を拭おうともせずに。だが、その表情は笑顔だった。もう…
影も何もない……心からの幸福な笑顔。
アリオスはその笑顔を見つめると、もう一度愛しい天使に口づけた。

 そうして…本当に笑顔になれるようになった幸福な女王のもとで、新宇宙は新たな発展を遂げて行くことになる。
その傍らには親友である女王補佐官と彼女が愛した剣士がいたという……。


…Fin.

 自己満足かもしれないけど、私的には気に入ってる作品です。これ以上のものは書けないと思います。リモージュちゃんが出てるのは
私の趣味と、原稿依頼してくれたまどかさんへのお礼も兼ねて。だって、書きたかったんだもの

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