「あ、ああ!」
何度も叫んだその声はかすれかかって。喉も痛くなってきている。抵抗するかのように、アリオスの髪を掴んでみせても、
アンジェリークの身体の中の熱を煽るアリオスの行動は止まらない。やがて、髪を掴んでいたはずのアンジェリ−クの指は
その銀色の髪に絡める程度になってしまう。
「も、ゃ……!」
「零れた酒をなめてやってるんだ。大人しくしとけ」
「嘘、零れてなんて……」
大きく開かれた足はがっしりと固定されていて。身動きできない状態のまま、何度も淫らな水音をたてられ、舐めとられて、
その代償に快楽を与えられる。
「も、駄目……」
涙混じりに限界を訴える声。何度も覚えこまされた快楽に確実に蝕まれている証。それを自分で解放する術などなくて。
それができるのは今、アンジェリークの心と身体をを蝕み、取り込もうとしているアリオスだけだ。
「どうして欲しい?」
耳元で囁かれるのは誘惑の声。この声に身を任せたら楽になれる。頭のどこかでそれを肯定している。理性はもう風前の
灯火と言ったところか。
「あ……」
「決めるのはおまえだぜ?」
耳朶を軽く噛み、胸の蕾を摘み上げれば、簡単に嬌声が上がる。空いた手はいまだにとめどなく溢れる泉へと。泉をかき回
しては起こる淫らな水音は与えられる快楽とともに思考を麻痺させる。
「ね…どうしたらいいの……?」
「おまえは決めるだけだ? おまえは俺にどうして欲しいんだ?」
「私……」
楽になりたい、心がそう望んでいる。その半面で、流されてはいけないと言う警鐘が鳴っている。だが、その警鐘は遅すぎた。
もはや、身体はその警告を受け入れる事はできないくらいに、彩られていて。
「私の中の熱…どうしたら、消えるの……? ね、どう言ったらいいの?」
「俺が欲しいって言ってみろよ」
「アリオスを……?」
いってる意味がまだ理解できていないのか、きょとんと見つめてくる。快楽に彩られた翡翠の瞳がアリオスを無意識に誘って
いる。
「その唇で言ってみろ。ラクにしてやるから……」
耳朶を噛まれながら、囁かれる声は悪魔の誘惑。それだけで確実に快楽を生み出す。そして、逆らいがたい魅力がある。
アンジェリークはすがるように腕を伸ばす。
「アリオスが…欲しいの……」
朦朧としつつある意識の中から必死に与えられた言葉をつむぐ。おそらく、その意味などまったく考えることないのだろう。
アリオスを魅惑してやまない天使の媚態に口元に笑みが浮かぶ。
「ああ、今、俺をやるよ……」
アリオスはアンジェリークの足を大きく開く。そして、自身の熱をあてがうと、反射的に逃げようとする身体を押さえつける。
「あ、ああ――!!」
中に入り込んでくる熱い塊に嬌声を上げる。それを自分の中に受け入れてから間もなく、いまだに慣れぬ感覚。だが、確実に
アンジェリークの中にある何かを呼び覚ましてゆく。
(な、何……? 身体がまた熱くなってる……?)
身体全体が熱を帯びて。生まれる熱と快楽に確実に理性も何もかもが溶かされる。与えられる快楽を追うだけで精一杯で。
もう、何も考えられない。必死に目の前のアリオスにしがみつく。そうしなければ、心と身体がバラバラになってしまう。
「やぁ…っ……!」
「なんだよ。積極的だな。そんなにイイのか?」
淫らにそう囁きながら、より一層奥に入り込んでゆく。より深いところで感じる熱さに意識が飛びそうになりながらも、中を蠢く
アリオス自身のためにそれもできなくて。
「んぅ…違……」
ゆらり、ゆらり。激しい嵐の海の中を漂う小さな小船のように、激しく揺さぶられる。ただそれに翻弄されるだけ。後は何も考え
られなくて。
「ふぁっ、あぁ――!!」
体の中に沸き起こる嵐に飲み込まれてゆく。残されたのは破壊し尽くされた理性と、人形のように力を失ってしまった身体
だけ……。力を失った身体はゆっくりとベッドに沈み込んでしまった。
「……」
力を失ってしまったアンジェリークの身体を見下ろす。昨日からつけた紅い花が濃いものから薄いものまで散らばっている。
それを一つ一つ指でたどると、意識を失ったはずの身体が微妙に反応する。しばらくはその様子を楽しんでいたが、シーツを
アンジェリークにかけてやると部屋を後にした。
朦朧としていた意識の中、暖かい何かが何度も身体に触れていた。タオルの感触がしたから、身体を拭かれているというと
いうことは漠然とわかっていた。けれど、瞼は重く開こうともしない。指一本も動かないほど、アンジェリークは体力を消耗して
いて。ただ、されるがままに。シーツの感触が心地よくて。それに身をまかせた、闇に意識をおいていった。
iいいのかなぁ、こんなのばっかりで……。
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