| 歌うことは大好き。それだけでよかったのに。どこで崩れちゃったんだろう。あたしの体目当ての連中に思うように 組み敷かれて、蹂躙されて。心をどこかに置いていって。だけど、それでもあたしは歌うことを捨てられなかった。 歌うことはどこでだってできるとは思う。だけど、それはあたしの夢だったから。石にかじりついてでも歌い続ける。 それは半ば意地だ。あたしの歌を好きでいてくれるそんな人たちがいることを知っているから。 いつか、見返してやる。心でそう誓って。あたしはいつだって、自分に言い聞かせていた。 だから、かもしれない。あの人に出会ったことであたしが変わっていったのは。あの人は…あたしの知ってる大人では なかったから……。 アンジェリーク・コレット。今TVや雑誌で人気急上昇中のアイドルである。どこにでもいそうな可愛い女の子アイドルと して世間に認知されていた。CDも何枚かはでているが、アイドルとしては売れている方である。そういう認識、だ。 「アンジェちゃん、すごい仕事だよ!」 マネージャーが駆け込んでくる。アンジェリークが所属するプロダクションはアンジェリーク一人の人気で支えられている といっても過言でなくて。来る仕事はどんな仕事でも受けるようにはしている。 「どんな仕事?」 「あのアルヴィース財閥の関連企業のCMだよ! 自動車のCMなんだけどね、アンジェちゃんにイメージがぴったりな 車だって」 「あたし、まだ車に乗れる歳じゃないのに?」 論点がずれているが、チャンスはチャンスである。アンジェリークのような少女でもアルヴィース財閥の規模は理解 できているし、その関連企業のCMに起用されるのは大きなチャンスだ。 「でも、チャンス、よね……」 アイドルからのステップアップを狙っているアンジェリークにとっては狙い目だ。そんなアンジェリークにマネージャーは こわごわと話を続けた。 「で、その。そこの会長さんだか総裁さんがアンジェちゃんに興味を持ったらしくてね……」 「あたしに?」 「そう。興味があるから、来るように…って」 「ふぅん……」 一気にアンジェリークが冷めていくことに気づき、マネージャーはびくびくしている。 「その会長って、どんな奴? そいつの好みに合わせて装うんでしょ?」 冷めた口調でマネージャーに突っかかる。彼が困ることはわかっている。だ~、これは八つ当たりだ。 「この間のプロデューサーなんか、ピンヒール送ってきたものね。希望通りに踏んでやったけど」 くすくすくす。痛い笑い方。怯えきっているマネージャーを一瞥して、アンジェリークはため息をついた。 「わかってるわよ。行くわよ。どうせ社長がいうのよ。あたしのためなんだからってね」 嫌悪感を抱いていながら、どうすることもできない。どこで崩れ始めたのか。アンジェリーク自身でもわからないまま。 それでも足掻いてしまう自分を滑稽にすら感じていた。 |
アンジェリーク、かなり荒れてますね(ーー;) 事情は御存知の方は御存知でしょうけれど。根はいい子なんです〜。周りの大人がねぇ……。
レヴィアスと出会い、どう変わるのかが見所だと思います。