「ん、ぅ……」
「ゆっくりと息を吐いて……」
 少しずつ埋め込まれているセレストの情熱。それはひどく熱かった。
「あ、く……」
 本来、受け入れる場所ではない場所、だ。そして、入り込んでくるものの物量と熱さ。
「…っ、く……」
 あまりの圧迫感と苦痛にカナンの身が竦む。
「力を抜いてください……」
「馬鹿、できるか……!」
 どうしても硬直する身体。カナンに無理はさせたくないが、このままでは自分もカナンも辛い。セレストはそっと
カナンの頬に手を伸ばし、口付けを落とす。
「ん、ふぅ……」
 人工呼吸のような口付けから、舌を絡めあう濃厚なものへと変化させて。口付けに少しばかり緊張の抜けた
身体を見計らって、セレストはカナンの中にすべてを収めた。
「う、ぁ――!」
「カナン……」
 熱く狭いその場所はそれだけでセレストの熱を煽ってゆく。だが、それだけではいけない。カナンのことを気遣い
たいから。一つになったことをちゃんと感じて欲しいと思った。
「あ、やぁ!!」
 カナンの中心に手を伸ばして、ゆっくりとその熱を煽り始める。カナンの中を動くリズムに同調させて。
「やぁ、何……?!」
 強張っていた身体はいつしかセレストを受け入れ始めていた。カナンの表情が苦痛だけではない色に染まって
ゆく。中心の先端からは蜜がこぼれだしていた。
「ひ…っ……?! や、おか、し……?」
 カナンの中のある一点を掠めた瞬間、カナンが大きく反応を示す。セレストはそこを中心に攻め立てた。
「やだ、セレスト、僕……」
 涙にまみれた表情は与えられた快楽になれずに、混乱していて。それがひどく美しいと思った。
「嫌じゃないでしょう? 今、私と一つになってるのに……」
 冷静な口調を試みてみるが、セレストとて息が荒くなっている。愛しい人をこの腕に抱いているのだ、平気で
いられるわけがない。
「ひとつ、に……?」
「ええ。あなたの中に私がいます」
 激しい動きを止めて、ゆっくりとカナンの中を探る。ビクン、とその身体が揺れた。
「セレスト……」
「ええ、カナン……」
 名前を呼ばれることがひどく嬉しかった。本当の名前を大切な人に呼んでもらえることが。どんなに苦しくても、
セレストと一つになっている。
「ね、も、僕……」
「ええ。私も……。だから、一緒に……」
「ん……」
 セレストの言葉をどこまでカナンが理解していたかはわからない。けれど、カナンはセレストにしがみついて、
最後の瞬間を待ちわびる。
「あ、ぁーー!!」
 セレストがカナンの中心の熱を、その体内に深く打ち付けると、カナンの背が大きくそらされた。
「く…っ……」
 それと同時に、セレストが自身の情熱を吐き出す。それはひどく熱くカナンに感じられた。 


 ぐったりと弛緩した身体を抱きしめてくれる腕はやはり優しい。
「すみません、無理をさせました……」
「いい。その、愛してもらえてるって思えたから……」
「はぁ……」
 互いが互いの言葉に真っ赤になる。それでも、大切なことは変わらない。そして、最高の呪文も。
「愛しています」
「ん。僕も愛してる……」
 互いが互いに呪文を掛け合って、抱きしめあって。そして、一緒に夢を見る。

 夢の中でも互いを必要とするように、二人よりそって……。

やっと、終わった……。初々しすぎて、泣けるよ……。

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