「ん、ふぅ……」 その瞬間はやはり圧迫感が強く、動きが止まりそうになる。 「カナン様……」 セレストの手がカナンをなだめるように背中を撫でる。 「カナン様、息をゆっくり吸って、力を抜いて……」 「や、無理……」 「無理じゃないですよ、ほら……」 背中を撫でる手がゆっくりとカナンの緊張をほどいてゆく。 「は、ぁ……」 ゆっくりと自重でカナンの身体が沈んでゆく。 「あ、ぁっ……」 中に入り込んでくる熱さと圧迫感に気がおかしくなりそうだ。いつもとは違う体勢は新たな熱を呼び出して。 身体が興奮している。 「全部入りましたね……」 「馬鹿者……」 どうして、そんなに恥ずかしいことを平気で言えるのだろう。抗議の視線を向けるカナンに対し、セレストは 更にとんでもないことを言った。 「カナン様、動いてください……」 「え……」 「カナン様がなさるんでしょう？」 「う〜」 セレストを自分から受け入れたことだけでも羞恥に耐えきれないのに、それ以上を促されるだなんて。 「カナン様……」 優しい声。けれど、逃げることは許されない。カナンはキュッと瞳を閉じて、セレストの首に腕を回して動き 始めた。 「う、っく……」 躊躇いながらの腰を動かしてゆく。じんわりとした快楽がそのから生まれてゆくが、絶対的な快楽には結び つかない。 「セレスト…もう、僕……」 それ以上は恥ずかしくて、口に出せなくて。セレストの肩に顔を伏せる。 「私もしてもいいですか……？」 「〜」 恥ずかしさにブンブンと首を振る。けれど、服の裾を掴んで、くいくいと引っ張る。小さい頃に何度もこうして ねだられたことがあったことを想い出して、セレストは笑みをこぼし、カナンの腰を掴んだ。 「あ、あぁ……」 激しく突き上げられる。いつもよりも深く繋がっている感覚に捕われているのに、これはたまらない。 「はっ、ぁ…ん……」 「カナン様も動いてください……」 「ん…」 たどたどしくカナンも快楽を追う動きを始める。熱くて、おかしくなる。こんなに感じている自分が嫌でたまら ない。それなのに、もっとと身体は快楽を欲していて。 「セレスト…も、ぅ……」 堪えきれないままにカナンは限界を訴えると、セレストはカナンの腰を掴んだ。 「わかりました。私もさせてくださいね」 本当はとっくに限界を覚え始めている。たどたどしく動くカナンの姿に物足りなく思いつつ、煽られてもいた のだから。 「ひっ…あ、っ……」 「カナン様……」 カナンの腰を掴み、セレストが激しく突き上げてくる。その動きにカナンの腰も無意識に動いていて。上り 詰める意識。頭の中がちかちかする。やがて、それは終焉を迎えるためのクライマックスに。 「あぁ、も…セレ、スト……」 「ええ、私も……」 いっそう強く打ちつけられた衝撃に、カナンは自身を解放する。それと同じ瞬間にセレストの情熱がカナンの 奥深くに解放された。 「う〜」 行為のあとの気だるさにベッドに突っ伏しているカナンのためにお茶を入れていたり、身を清めてくれたりと 甲斐甲斐しく働くセレスト対し、カナンは少しばかり恨みがましい視線を送る。 「どうかしましたか？」 「僕がしたいって行ったのに……」 結局流されるままだった自分だったことが不満らしい。セレストはクスリ、と笑うと、失礼しますと一声かけて、 カナンの傍に腰掛けた。 「…私に触れているときはどきどきしませんでしたか？」 「……した」 認めるのは癪だけれど、それは確かに事実で。 「……私はいつも、どきどきしています。平気じゃないですよ」 「本当か？」 「ええ」 笑顔には嘘は感じ取れない。カナンの大好きな笑顔、だ。 「む〜」 「そういうわけですから、ずるいだなんて仰らないでください」 恭しくカナンの手をとって口付ける。悪い気なんてしない。 「それなら、許してやる」 ごむたいちっくなその言葉に、カナンらしさを感じてセレストは愛しさを隠せない笑みをこぼした。 |
頑張ったね、カナン……。恥ずかしかったよ、私もさｗ
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