首座の守護聖様とうさ耳

 ふわふわの金の髪からぴょこんとのぞく真っ白なうさぎの耳。
「……陛下、それは?」
 頭が痛くなるのをかろうじで堪えて、ジュリアスは目の前にいる至高の存在に問い掛ける。
「可愛いでしょ?」
「そういう問題では……。一体、どうなされたのですか? 仮にも女王陛下ともあろうお方が!」
 口調が厳しくなるのは女王であるアンジェリークの立場を慮ってのこと。
「向こうの宇宙でチャーリーが王立研究院と共同で開発した成分に一部分だけ動物にメタモルフォーゼする成分が含まれていたの。向こうの宇宙ではエトワールにうさ耳が生えたんですって」
「……陛下、まさか?!」
 アンジェリークの頭には可愛らしいうさぎの耳。慌てた様子のジュリアスにアンジェリークはニコニコ笑って言った。
「食べてないわよ。これはチャーリーにもらって、つけてみたの。食べてみたいって言ったらね、『ロザリア様に殺されるよって、勘弁してください。これで我慢してください』って、渡されたの。どういう意味かしら?」
 小首を傾げる様はうさ耳のこともあり、本当に小動物のようで愛くるしい…という思考に陥りそうになったジュリアスは慌てて首を振った。
「だからといって、そのようなお姿をなさるのはどうかと思いますが……」
「日の曜日だから……。いいかなって思ったの。もしかして、似合わない?」
「え……」
 大きな瞳でじっと見上げられて、問い掛けられると、ジュリアスとしては固まるしかない。似合う似合わないの問題ではなく、女王としての立場を考えて欲しい、とただそれを言うだけなのに、喉の奥に石が詰まったように言葉が出ない。
「にあわない、の……?」
 答えがないのが答えと解釈したのか、アンジェリークは途端に沈んだ顔になる。こんな顔をさせたいはずなどなかったジュリアスは焦るしかない。
「似合わないことはありません。むしろ、陛下のためにあるのかも知れません」
「ジュリアス……」
「ですが、そのようなお姿を他の者が見たらどう思われるか……。私はそれが心配なのです」
 真摯な言葉にアンジェリークはコクンと頷く。分かってくれたのかと思い、安心したジュリアスに対し、アンジェリークは斜め方向の結論に達した。
「じゃあ、ジュリアスと一緒ならいいのね」
「……は?!」
 明後日の方向に結論づいたアンジェリークにジュリアスは固まりそうになる。そんな彼に構わず、アンジェリークは笑顔で続ける。
「他の人に見られなくて、ジュリアスの前ならいいんでしょう?」
 いい考えを思い付いたと言わんばかりのその笑顔にジュリアスは苦笑するしかなかった。


Web拍手お礼SSより再録。リモに振り回されるジュリアスが愛しいのですvvv

|| <Pureness Angel>