1週間



 ある日の日の曜日の庭園。いつものように商人こと、チャーリーが店を出していると、可愛らしい訪問者。

「よ、メルちゃんやないか。お散歩か? ちょっと待ってな。お菓子あげるさかい」
 子供には優しくがモットーなのか、メルが来るといつもお菓子を出すチャーリー。餌づけのつもりなのかも知れない。
「あのね、お買い物のことですごく気になることがあるんだけど、商人さんだったら知ってるかなぁって思って来たの」
「俺やったら? まぁ、商売に関することやったら、ええけど」
 買い物をするのに、小遣いが足りないのだろうか…などと単純に考えるチャーリーである。だが、メルは真剣な表情だ。
「この間…アンジェが歌ってくれた、歌の中ですごく気になる歌詞があったの」
「……は?」
「あのね、『日曜日は市場へ出かけ、糸とあさを買ってきた』って、 歌ってたの。朝って…どうやって買えるの?」
「ちょっと待ってな……」
 歌詞はとある惑星の中にある国の民謡、『一週間』。この場合、“あさ”といえば繊維の麻のこと。だが、メルは大きな勘違いをしているようだ。
「メルちゃん、もしかして、“あさ”のこと、モーニングの“あさ”やと思っとんか?」
「違うの? すごい歌だなぁって思ったんだけど」
「……」
 確かに、耳で聞けば、麻も朝も同じである。だが、よく考えてみれば、何かが違うの気づくはずだ。恐るべし、天然思考である。
「あのな、メルちゃん……」
 どう説明すべきか、頭を抱えたくなる。だが、そこにもっと頭を抱えたくなる人間がやってきた。
「やぁ、今日も無駄に元気そうだね」
「セイランさん……」
 そう、感性の教官セイランである。この一癖も二癖もある人物は、とんでもないことを平気で行ってのける人物なのだ。
「あ、セイランさん。セイランさんは詩も書くんだよね。この歌詞の意味、わかんなくて困ってるの〜」
 無邪気に、さきほどチャーリーに話した自分の疑問を話すメル。止めよう…そう思ったときはすでに遅かった。
「……何だ。簡単なことだよ」
「え、何?」
「この民謡が歌われた国は冬は夜が長くて、日照時間が少ないなんだ。だから、日光の代わりになる光源のものを買いに行くんだ。それを詩的に朝…と表現しているんだ。」 「ああ、そうなんだ。さすがセイランさん、色々なことを知ってるんだ」
 ……何でそれで納得するねん、突っ込みたくなる。ハリセンがないのがとても寂しいが、セイラン相手に突っ込んだら、倍返しではすまないのは承知している。
「ありがとう、セイランさん」
 答えを得られて、満足して去って行くメル。自分がやったことではないのに、罪悪感で胸が一杯のチャーリー。
「どうしたんだい。顔色が悪いけど」
 しれっとした顔で話しかけてくるセイラン。
「いえ…何でもありまへん」
 何も言うまい…心に誓うチャーリーである。誰だって、最後は自分が一番可愛いのだから。ただ願うことは、この女王試験が終わるまでに、間違った知識をこれ以上メルにインプットされないように…と。彼にできることはそれだけであった。

 実話だったりします。だって、これ、子供の頃の私の疑問そのものだもの。でも、セイランみたいに間違った知識を教えて
くれる大人はいなかったです(笑)


<聖地お笑い劇場>