みつ編み


 鏡に向かってみると、髪は以前よりずっと伸びている。意識して伸ばしたわけではなく、何と無く伸ばしていた。
「みつあみ、できるかなぁ……」
 エトワールであるエンジュのおさげ頭を見て、可愛いと思っていた。いつも、髪は丁寧に櫛を通すだけで、髪型を変えたことがない。女王の服装に合わせると、自然とそうなってしまうが、たまの休日なら、気分も変わる。今日の服はカントリー風のワンピースだ。服装にも合うだろう。
「えっと…あった☆」
 茶色のゴムを探し出すと、アンジェリークはいそいそと髪を編み始めた。


 そして、しばらく過ぎてから……。
「アンジェ、いるか? 補佐官殿が……」
 ノックもなしにアリオスが入ると、そこには鏡を前に悪戦苦闘するアンジェリークの姿があった。
「何やってんだ、お前……」
「えっと、みつ編みにしようとしてね……。バランスとるのが難しくて、編み直してるトコ……」
「……」
 暫しの沈黙後、アリオスは軽く溜め息をついた。
「向こうの宇宙から、荷物が着いてるって補佐官殿がお呼びだぜ。ちまちましてんなよ」
「あ〜。ごめん……」
 わざわざ呼びに来てくれたのだから、髪をみつ編みにして場合ではないと、立ち上がろうとするアンジェリークをアリオスはやんわりと制した。
「アリオス?」
「やってやるよ」
「できるの?」
 驚いたような声をあげるアンジェリークにアリオスは当然だといわんばかりの顔である。
「したことはないけどな。お前よりは器用だし、人がやってンのを見たことあるし、大丈夫だろ?」
 そう言いながら、アリオスはアンジェリークの髪をブラシでとかすと、綺麗に半分に分けて、みつ編みを始めた。
「アリオス、上手〜。みつ編み、本当に初めてなの?」
 スイスいと編んで行くアリオスに思わず簡単の声をあげる。
「昔に部下が縄を編むのを見てたからな、似たようなもんだろう?」
「人の髪をわらと同一視はしてほしくないんだけど……」
 そう言いながらも、綺麗にみつ編みされる髪に悪くない気分のアンジェリークであった。


「あ、アンジェ、カワイイ☆」
「ありがとう、レイチェル」
 お下げ姿はレイチェルにも好評で。すごく嬉しい。
「で、荷物って?」
「うん。向こうの宇宙とこっちの宇宙で調査してた分の報告書と陛下の手作りお菓子♪」
「うん、わかってる♪」
 書類が届いている程度でレイチェルがアンジェリークを呼び出すはずもなく。(内容を確認した上でアンジェリークに報告するのだ)お茶をするために呼んでくれたのだ。
 そう言うわけでアリオスを交えて、お茶会をする三人であった。
 お茶会後、レイチェルはあらかじめ取り分けておいたお菓子を持ってエルンストのもとに向かった。
「何だかんだでお熱いこって……」
「まぁまぁ。私たちも中庭にでも行きましょう?」
「そうだな」
 休日を楽しまない手はない。二人は中庭に向かった。


 さて、宮殿の中庭は当然二人だけのものではない。
「あら、女王陛下とアリオスさんだ……」
「エンジュ。目をあわせんなよ」
「あぁ、じろじろ見たら、失礼ですよね」
 レオナードの言葉にエンジュは慌てて視線をそらす。近道に中庭を通ろうとしたら、先客がいて。それがアリオスとアンジェリークだった。
「そういう意味じゃねぇよ。あの二人は補佐官曰く《この宇宙名物馬鹿ップル》らしいんだが、下手に邪魔すると末代までアリオスに祟られるんだと」
「そうなんですか……。じゃあ、祟られないようにしないと……」
 レオナードの顔は真剣そのものだ。とても、嘘を言ってるようには思えなかった。
「じゃあ、別のところにしましょうか」
「だな」
 立ち去った二人にそんな会話をされてるとは知らないまま、アリオスとアンジェリークは休日を満喫しているのであった。

すみません、エトワールしてないのに書きました。レオナードの最後のあたりの台詞を使いたくて……。

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