こんな1日
いつもどおりに練習が終わった帰り道。ふと、将が足を止める
「なんや、ポチ」
一緒に歩いていたシゲこと佐藤茂樹はその視線の先を追うと、神社の境内で準備中の屋台が並んでいる。
「今日、お祭りなんですね」
「ああ。そうみたいやな」
秋にもなれば、お祭りシーズンである。大抵、どこかの神社とかで祭りが行なわれる。
「そうか、ポチは転校してきたから、この辺の祭りの情報は知らんわな……」
しばらく、何事かを考えていたシゲであったが、すぐに満面の笑顔になる。
「なぁ、祭りに行くか?」
「え、でも……」
「たまにはええやろ? それとも,ポチは祭りが嫌いか?」
「いえ、好きです」
「なら、行くで」
ポン…と促すように背中をたたかれる。
「はい」
ようやく将は満面の笑顔を向けた。
そして、夜の七時をすぎた頃……。
「シゲさーん」
待ち合わせ場所の神社の鳥居に先に来ていたシゲのもとに将が駆け寄ってくる。
「すみません。待たせちゃいました?」
「いや、ポチは時間どおりや。俺が早く来ただけ」
「お祭り、好きなんですね」
「まぁ…な」
無邪気に笑う将にシゲは内心で苦笑する。屈託のない子犬のようにいろんな人間に懐く将。そして、懐かれる側も将が可愛くて
仕方なくて。シゲも御多分に漏れず、その一人であるのだから。
(あんまり、他の連中にも見せて欲しくはないんやけどな……)
ライバルは桜上水だけではないのだ。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない。それより、はよ行こ」
「はい!」
とにもかくにも楽しい時間の流れは速い。まして、大切な人間との時間ならなおさら。
「じゃあ、まずは射的からやな」
「え、僕、苦手なんですけど」
「俺が教えたる♪」
グイッと腕を引っ張って、将を連れてゆく。戸惑いながらも、無邪気に笑う将。今だけは自分だけのもの。そんな独占欲。今はこれに
甘んじていてもいいだろう。この無邪気さこそが将の美点なのだから。
(俺も焼きが回ったなぁ……)
そう思いながらも,悪い気がしないシゲであった。
12000番を踏んだまどかさんからのリクエストです。ゴメンね,藤代×将を書けなくて。翼×将の縁日話は気が向いたら,書くかも。
待てないなら、またキリ番とって、リクエストしてね(爆笑)。
<贈り物の部屋>