楽しい健康診断
この日、感性の教官であるセイランの機嫌はとてつもなく悪かった。
「何で…この僕が健康診断を受けなきゃならないんだ」
青年はこの手の検診も嫌っていた。病気で死のうが、何だろうが本人が嫌なものを強制される覚えはないのだ。
「仕方ないだろう…女王試験で呼ばれているとは言え、聖地に身を置く限り、ここのスケジュールには従うべきだ」
嫌がるセイランを無理矢理連れてきたヴィクトールのたしなめるような言葉にも耳を貸さない。大体、貸すような人物なら、おとなしく来ているのである。
「まぁまぁ。守護聖様たちだって受診されているんですから」
今度は穏やかなティムカの言葉。子供ながらに彼の人間はセイラン以上にできている。できてはいるのだが……。
「昨日…エアバイクで逃げてるゼフェル様を見たんだけど」
「……すみません」
まだ押しが足りないのは13歳なのだから、仕方ないと言えば仕方ない。
「大体、本人がどこも悪くないって自覚してるんだから、それでいいんだよ」
そう言って、セイランは大げさに溜め息を吐く。
「僕が悪いのは性格だってわかってるんだから。それでいいと思わないかい?」
「……」
一瞬、顔を見合わせるヴィクトールとティムカ。だが…互いに引き釣った笑いしかできなくて。
「どうして…フォローしてくれないんだい?」
できるか! と心の中で叫びながら、次の言葉を考える教官二人であった。
「そらでけへんわ……」
その様子を見ていた商人が思わずこう呟いたのも無理はない。
別に、セイランファンに喧嘩売ってるわけじゃないんですが…。友人には受けがいいよ。このセイラン。
|| <聖地お笑い劇場> ||