Jewel
金と緑の一つずつの瞳。それはアリオスにとって、かつてのレヴィアスにとっては忌ま忌ましいものでしかなかった。転生後ですら、
思った。何故、今もこの瞳なのだ…と。
「私はアリオスの瞳の色、好きよ」
コンプレックスでしかなかったこの瞳をそう言われるのは初めてのことだった。異形の証であると周りに蔑まれてきた。
「とっても綺麗だもの。金色と緑の綺麗な色の瞳を一つずつ持ってる事になるのよね」
吸い込まれそうなほどの翡翠の青の瞳。大きな目をさらに大きくして、まっすぐに見つめられる。
「じゃあ、どんな風に綺麗だ?」
この栗色の髪の天使にはこの瞳はどう見えるのだろう。ふと、そんな思いに捕われ、聞いてみる。
「うんとね、緑の瞳はエメラルドみたい。金色の瞳はね……」
どう表現するか…しばし少女は思考を巡らせる。やがて、妙案を思いついたのか、ポン!と手を打つ。
「あ、そうだ。べっ甲あめ。金色で甘いの〜」
「おまえのレベルに期待した俺が間違ってたようだな……」
そう言いながらも、フッと吹き出してしまうのは、この少女の楽しすぎる発想。こんな風に彼の瞳を評する人間は多分、彼女以外
にはいない。
「大物だよ。おまえは」
「どういう意味かしら……」
アリオスの言葉を素直に受け止める事が出来ないアンジェリーク。それがまた楽しくて、笑いをしばらく押さえる事ができなかった。
「でも…私は本当にアリオスの瞳の色、好きなのよ。それがあなただって証だから」
「……アンジェリーク?」
「あなたとここで再会できた時…まさかって思った。でも、その瞳があるから、あなただって確信できたもの」
見上げる瞳はどこまでも純粋で、奇麗で。本当に奇麗なものはこの少女。
「目印がわりかよ」
「そんなつもりはなくって〜」
慌てて、首を振る少女の反応がおもしろくて、ついからかってしまう。そして…また救われる。この瞳を持って生まれてきたことの
意味をようやくつかんだ気がする。
巡り会うべき天使が間違いなく彼の元に訪れるように。このどこかとろくさい少女なら、きっと見つけだせるはずだから。
「まぁ、俺の目は食うなよ」
「食べないわよ〜」
「でも、俺は食うけどな」
「えっっ?」
言葉の意味に戸惑う隙に一瞬のように掠める口づけ。
「あ、アリオス?」
「ご馳走さん」
いたずらっぽく笑うアリオスにアンジェリークは真赤になって、絶句するしかなくて。そんな天使を楽しそうにアリオスは見つめる。
今なら、この瞳を好きになれるかも知れない…そんな予感を胸に秘めながら……。
日記で書いた「今日の1シーン」を元に書きました。アリオスの瞳をこんな風に言えるのはコレットぐらいでしょう。うん。
|| <Going my Angel> ||