森のアリオス


ある日 森の中
アリオスに出会った
花咲く 森の道
アリオスに出会った


 それはある日のことでした。ごく普通の新宇宙の女王アンジェリークは宮殿に飾るためのお花を自ら摘みに約束の地から続く森に遊びに来ていました。女王自らが…と思われるかもしれませんが、新宇宙は生まれたばかりの宇宙なので、人手が少ないのです。だから、こんなことも女王の大事なお仕事です。もっとも、それは建前で。アンジェリークの気分転換なのです。
「今日はこのくらいにしましょう」
 綺麗なお花をたくさん詰めて、アンジェリークはとてもご満悦でした。うきうきとした帰り道、アンジェリークは一人の男の人と出会いました。
 森の中でも鮮やかに光る銀の髪。金色と緑の金銀妖瞳はとても神秘的です。息を呑むほどの整った顔立ちはアンジェリークの胸をどきどきさせます。
「あ、私、アンジェリークといいます。あなたは?」
 人に名を聞くときはまずは自分から名乗る、それを当たり前のことだと思っているので、アンジェリークはまず自分の名を名乗りました。すると、アリオスはまじまじとアンジェリークの顔を覗き込んできました。アリオスの背はとても高く、見上げるとアンジェリークの首が疲れてしまいます。
「面白い奴だな、お前……」
「はぁ……」
 ククク…と笑いながら、面と向かってこう言われるのは何となく複雑です。アンジェリークはむっとした顔を隠しませんでした。
「おっと。悪かったな。俺の名前はアリオスだ。このあたりに適当に住んでいる」
 アリオスはそう名乗ると、不敵な笑みを浮かべました。



アリオスのいうことにゃ
おい、お前、逃げねぇか
スタコラ サッササノサ
スタコラ サッササノサ


 アリオスはアンジェリークをまじまじと見つめると、こう言いました。
「お前、逃げろ」
「はい?」
 いきなり何を言い出すのか、アンジェリークにはまったく理解できません。
「ここは危険だからな」
 そう言うと、ニヤリ…と不敵に笑いました。なまじ、顔がかっこいいばかりに、そういう笑顔もとても素敵です。アンジェリークはついその笑顔に見ほれてしまいました。
「どうした?」
「な、何でもないの。でも、どうして逃げなきゃならないの?」
 アンジェリークには逃げる理由などはありません。この森が危険だなんて、聞いたことはありません。第一、危険だと言うのなら、親友であり、女王補佐官であるレイチェルがアンジェリークをとめているでしょう。アンジェリークとて、危険とわかっていて、足を踏み込むような思慮なしではないのです。
「俺が危険だと言ったら、危険なんだよ。とっとと、行けよ」
「わかったわ。じゃぁね、アリオス」
 何故、ここまでえらそうに言われるのかは理解できませんでしたが、とりあえず、アンジェリークは走って逃げ去りました。その後姿を見て、なぜかアリオスはにやりと笑いました。


ところが アリオスは
後から ついて来る
とことことことこと
とことことことこと

  不可解に思いながらも、アンジェリークは森の出口に向かって走り続けました。走るのはあまり得意ではありませんし、ひらひらのスカートは走るのにはあまり向いていないようです。それでも、アンジェリークは一生懸命走っていました。
(もう見えなくなったかしら……?) 
 スタコラさっさと逃げてから数分。森の入り口に近づいていってます。もう、アリオスの姿が見えなくなっただろうと思い、アンジェリークは振り返りました。
「嘘……!」
 振り返ったとたん、アンジェリークは絶句してしまいました。アリオスがアンジェリークの後をついてきているのです。しかも、かなり速いペースです。
(な、なんで? 逃げろって言ったのはアリオスよね……)
(な、何で、アリオスが追いかけてくるの〜?)
 はっきり行って、訳がわかりません。逃げろと言ったのはアリオスであるはずなのに、追いかけてくるのです。はっきり言うと、アンジェリークの足はとても遅いです。アリオスは男の人ということと、もともと運動神経に長けているのでしょう。とても速いです。すぐに追いつかれてしまいそうです。そして、気のせいでしょうか。楽しそうな顔をしています。アンジェリークはすっかりパニックに陥りながらも、けなげにアリオス空、逃げ続けようとしました。


おい、おまえ ちょっとまてよ
ちょっと 落し物
白い貝殻の 小さなイアリング


 追いかけてる自分に気づいて、パニックになっているアンジェリークをアリオスは嬉しそうに見つめていました。彼の思うツボどおりに行動してくれます。
(そろそろ、だな……)
 ころあいを見はかり、アリオスはアンジェリークに声をかけたのです。
「おい、待てよ。アンジェリーク。忘れもんだぜ?」
「え?」
 その言葉にアンジェリークは立ち止まりました。
「ほら、このリボン、お前のだろ?」
「あ……」
 アリオスが手にしているのは花のついた紅いリボンでした。それはアンジェリークが腕に巻いているものと同じです。手首を見ると、リボンはありません。
「もしかしたら、このために追いかけてくれたの?」
「大事なもんかもしれねぇからな? 当然だろう?」
 アリオスのその言葉にアンジェリークは追いかけてくるアリオスを怖いと思ったことをとても反省するのでした。



あら アリオス ありがとう
お礼に 歌いましょう
ララララララララ〜
ララララララララ〜


「ありがとう、アリオス!」
 すっかり信用しきった笑顔をアンジェリークはアリオスに向けました。
「礼を言われるまでもねぇよ。ほら」
 差し出されたリボンも素直に受け取ります。アリオスは至近距離過ぎる位置にいても、なんら疑いも持ちません。
「何か御礼をしなきゃ。でも、今は私、お花以外は何もないの……」
 宮殿に戻れば、何かできるのですが、アンジェリーク個人として何か御礼をしたいと言う気持ちでいっぱいです。
「あ、そうだ。私、歌が得意なの。お礼に歌を歌うわ」
 これがお礼になるのかとは多少の疑問ですが、アンジェリークは真剣でした。そして、その言葉にアリオスは再び不敵な笑みを浮かべました。
「歌もいいけどな。俺としてはお前の別な声を聞いてみたいんだがな」
「どんな声? 私でよければ、何でもするわ」
「ああ。何でも、な」
 満足げに笑うと、アリオスはアンジェリークの腕を掴み、そのまま森の茂みに入って生きました。
「あ、アリオス?」
 事態がわからないままのアンジェリークにアリオスは不敵な笑みのままで答えました。
「お礼をしてもらうんだぜ?」
 その言葉と共に、アリオスはアンジェリークを押し倒してしまいました。
「え?! あ、嫌……」
「悪いな、俺が聞きたいのはこういう声なんだよ」
「やぁ…、あん……!」
 やがて、アンジェリークの甘い声が聞こえ始めてきたのでした。アンジェリークのお礼をアリオスが丹念に受け取ったのは言うまでもありません。それはいつまでも続いたのですから……。



ほのぼのが一転して不健全にw 何考えてた、私w

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