抱きぐるみ
日の曜日の庭園で聖地の御用商人として、ウォングループの総帥であるチャーリーが出している露店、それを初めて見付けた時は一体誰が使うのだろうと、ロザリアはしばし硬直した。目を引いたのは、巨大なイチゴの抱きぐるみ。抱きぐるみというよりは、しがみつくと言った方が正確なのかもしれない。
(でも…喜びそう……)
随分昔にイチゴのクッションをあげたときに喜んでくれた。あれはまだ女王候補の頃だった。
『ありがとう、大事にするわね』
鈴がなるような声で無邪気に告げられたあの言葉が今も耳から離れない。そして、どこか面映くもある思い出。
「包みまっか?」
「え?!」
いきなり主であるチャーリーに話しかけられ、ロザリアは動揺する。
「わ、私の趣味ではなくてよ!」
「わかってますがな。陛下にですやろ」
才色兼備の女王補佐官の滅多に見られぬ姿にチャーリーはにやにやしつつもそれを包みにかかった。リボンはやはり女王をイメージしてか、淡い綺麗なピンク色。
「はい。お代は結構ですよって。どうですか?」
「わ、私が受け取るとは限らないですわ」
「でも、陛下喜びますやろ? いつもお二人にはお世話になってますからな。どうしても、あかんのでしたら、守護聖様から渡してもろうても……」
その言葉にロザリアはチャーリーから包みをひったくった。
「しかたないですわね」
上手くのせられてしまったとは自覚しつつ、ロザリアはラッピングされたイチゴの抱きぐるみを大事に抱きしめる。喜んでくれるであろう親友の姿を思い浮かべながら……。
「これ、私に? 嬉しい♪」
嬉しそうにイチゴの抱きぐるみに抱きつくアンジェリークにロザリアも悪い気はしない。
「ありがとう、ロザリア」
「別に礼を言われるまでのことはないわよ。たまたま見付けたら、チャーリーに持たされたのよ。あんたが好きそうだし」
「でも、私が好きなのを知ってたから見付けたんでしょう?」
にっこりとアンジェリークが言う。
「だから、ありがとう。ロザリア、大好き♪」
ぎゅっとロザリアに抱きつきもする。
「ちょ、ちょっと。私は抱きぐるみではなくてよ!」
「だって、嬉しいんだもの。嫌?」
上目遣いであどけなく問い掛けてくる瞳。女王であるのに、こういう所だけは変わらないのだ。計算ではなく、天然で。そして、それに甘い自分も変わらない気がする。
「嫌じゃないわよ。まったく、いつまでも甘えん坊なんだから」
そう言いながらも、抱きついてくるアンジェリークを振り払いもせず、ロザリアはアンジェリークの抱きぐるみと化していた。
基本はほら、ロザリモですから……w(おい、いつからだw)
|| <Pureness Angel>