約束



 ファンシーショップに二十歳前後の青年が二人いたら、嫌でも目に付く。しかも、二人とも、見た目がなかなかよいと
なおさらだ。

「これこれ。可愛いと思うけどな」
 そういいながら、炎が手にとったのは小鳥の絵が書かれている手提げバッグ。ビニールコーティングされているため、
防水性もある優れものである。

「そうだな。何より、実用品だ」
 どうせもらうのなら、実用品が良い…竜のこだわりである。住居の問題もあり、邪魔になるだけのものはなるべく置きた
くないのが本音なのかも知れない。

「美奈子ちゃん、喜ぶといいな」
「そうだな」
 折しも今は三月。お菓子業界の陰謀はまだまだ続き、今は三月。ホワイトデーの時期。竜の妹、美奈子からもらった
チョコレートのお返しを買いに来ている二人なのである。

「じゃあ、これにしようぜ」
 レジにて精算して、ラッピングしてもらう。
「それじゃ、これは俺が十四日に持ってくから」
「ああ、頼む」
 竜の家に置くわけにも行かず、炎が預かることになる。狭い住宅事情のため、すぐに見つかる可能性が高いからで
ある。

「十四日は俺が夕食を作るからな。食べていけ」
「いいのか?」
「この間の十四日には栗ぜんざいをおごってもらったからな」
「そっか。じゃ、楽しみにしてる」
 何気ない会話の中に、さりげない楽しみを忍ばせて。普通の恋人同士とは違った、こんな関係も二人らしくていいと
思えてくる。

「じゃ、またな」
「ああ」
 さりげなく言葉を交わして、別れて。次の約束を心待ちにする。恋人たちの祭典はまだまだ続くのであった。

一応、バレンタイン創作の続きだったりします。何気ないけれど、特別ってカンジな話を書きたかったのです。