ご希望に添えて
甘い香りが部屋一杯に広がる。そして、甘い声が響く。
「あ、やぁ…っ」
ソファに抱き抱えられたまま、触れるか触れないかの、微妙なアリオスの手の動きに、アンジェリークは翻弄されるしかない。
「ダメ…そんな……」
「何がダメなんだ? ここはこんなになってんのに」
指先で胸の先端を掠めるようにしたかと思えば、すでに潤い始めている泉に軽く指を沈めて、微かに動かして見せたり。
「は、ぁ……ん」
もうすでに、甘い声しか零れない。
「ど…して、こんな……」
いつも以上に身体が反応している。こんなのは、自分の身体ではない。
「ホワイトデーのお返しじゃないか……」
「どこが、よ……」
最初はアンジェリークの好きなケーキとお茶でもてなされていたのだ。カフェ・オランジュの美味しいケーキに舌鼓をうち、満足した時間を過ごしていたはすだった。だが、しばらくするうちに、アンジェリークは自らの身体の変調を感じ始めた。妙に熱を帯びだし、敏感になり始めたのた。
「へえ、やっぱり速効性っていうのは、伊達じゃねえな」
「え……?」
アリオスの言葉に嫌な予感がしないこともないが、段々と身体が言うことを利かなくなっている。そんなアンジェリークの様子を楽しげに見つめながら、アリオスは言った。
「無味無臭の媚薬ってやつ? ほんの少し、な」
「やだ、どうして……?」
「今日はホワイトデーだろ?」
ニヤリと笑いながら、アリオスはアンジェリークを膝の上に抱き抱えるように抱き寄せ、微妙なタッチで触れ始めた。
「お前は俺からの贈り物なら何でも喜ぶだろう? どうせなら、お前がねだるようにした方がいいだろう。いわゆる身体で返すってやつだ」
「馬鹿……!」
抗議の声も口づけに酔わされてしまい、身体の熱をあおられるだけ。
「あ、ぁ……」
それから、こうしてアリオスの手によって熱を煽られ続けるだけ?
「なぁ、本当にイヤか?」
耳元で囁かれる甘い誘惑の言葉。熱を帯びて、思考がまとまらなくなりつつある身体にはもはや甘い毒が染み込んで行くように。
「イヤ…じゃない……。ねぇ、もっと……」
恥じらいからか、それ以上の言葉は口にできないようだ。だが、アリオスは満足そうに笑みを浮かべる。
「天使様のお望みのまま、にな」
そんな囁きの意味ですら、快楽におぼれ始めている身体には届かない。後は甘い時間に酔うだけ……。
…お返しちゃうやん、アリオス
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