暖かな雪
アルカディアで過ごす幾度目かの日の曜日。アンジェリークは約束の地に来ていた。ただ一人の大切な存在とともに
すごすために。
「あ、雪だわ……」
アルカディアに降り注ぐ雪を見上げて、アンジェリークはほうっと溜め息を吐く。アリオスと見る三度目の雪。空気は冷たい
けれど、心は満たされて、暖かい。
「寒いだろ、その格好じゃ」
半袖のワンピースでは雪が降るこの気候の中では寒いはずだ。
フワッとアンジェリークの方に何かがかけられる。
「え……」
よく見ると、それはアリオスのジャケット。
「風邪ひくと、何かと面倒だろう、女王陛下?」
「で、でも、アリオスが風邪をひいちゃうわ」
黒のシャツ一枚のジャケットはアンジェリークにジャケットを貸せば、当然寒くなるはずだ。
「バーカ。俺とおまえじゃ、鍛え方が違うんだよ。こんなことくらいで、風邪をひくかよ」
こつん…と、額と額を合わせてみれば、途端に少女は真っ赤になる。
「ユデダコみてぇ……」
「……し、失礼ね」
「頭に大分、血も昇ってやがるしな」
ク…と、楽しそうに笑うと、悪戯を思いついた子供ののように、金と緑の瞳をきらめかせる。
「じゃあ…俺も暖かい思いをすれば、問題ないな?」
アンジェリークが戸惑うより先に、アリオスの腕の中に閉じ込められる。
「えっっ」
背後から抱きしめられている状態にパニックに陥っている。
「暖かいな、おまえは……。子供は体温が高いって本当だな」
「もう……」
困った顔をしながらも、それを振り払えないのは、この甘やかな時間が決して嫌ではないから。むしろ、望んでいた。
「しばらくこうさせろ。いいな?」
「うん……。私も暖かいから……」
雪は静かに降り続けている。だが、二人を包む空気は暖かい。互いの存在だけを、暖かさだけを感じながら……。
その日、アルカディアに振る雪はとても暖かく、全ての人の心に感じられたという。
それは二人の心の暖かさのままに……。
トロワ創作です。ダメだな、トロワの二人だと、馬鹿ップルです。誰か、止めてやれ……。
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