指先

 
 何気ない会話をしていたはずだった。けれど、不意にそれが途切れた。沈黙は心地よくて、会話がなくても笑顔をかわせれば、心が通じる。そんな甘い沈黙をしばし堪能したかと思うと、唇をふさがれた。彼に言わせると、そういう雰囲気になったからだそうだけれども、恋愛に不慣れなむぎとしては、何をどうもってして、そういう雰囲気なのかが未だに理解できない。覚えているのはキスがコーヒーの味がしたということだけで、後は翻弄されるがままだったのだから。
「あ……」
 零れ落ちた声に、むぎは真っ赤になった。自分の声のようでいて、そうではない声。思わず、口をつぐんでしまう。だが、恋人はすぐそれに気づいて、ニヤリと笑った。
「どうした? もっと聞かせろよ」
「や……」
「ま、鳴かぬなら、鳴かせてみよう、なんとやらってな……」
 一哉のの手が強めに胸の頂をはじくと、ビクンとむぎの身体がしなる。普段は不器用なはずなのに、こういうときばかりは器用に動く。それがひどく悔しくて、羞恥心だけではなく、意地も手伝って声をこらえようとするのだが、与えられる快楽にその意思は崩れ落ちそうになる。
「ん、く…ッ…て」
「いつまでそうしている気だ? こっちの方が正直だな」
「バ、馬鹿ぁ!」
 濡れた音をわざと大きく立てられて、むぎは真っ赤な顔で抗議する。
「ほぉ、ご主人様に向かって馬鹿とはずいぶんと偉そうな家政婦だな。お仕置きが必要、だな……」
 にやりと笑うと、むぎの足をさらに大きく広げさせる。
「や、ぁっ!!」
 指よりもやわらかく暖かいものが敏感な場所に触れるたびにむぎの背中が大きくしなる。
「あ、っん」
 一度声を上げると、堰を切ったようにあふれ出してゆく。身体全体で感じ、それが一哉の痴情を煽っていく。
「ほら、もっと聞かせろよ」
 そう囁いて、ゆっくりとむぎの中に自身を埋めていく。より一層零れる嬌声に一哉は満足げに笑みを浮かべ、むぎの中をより一層深く穿った。



このお題を見たとき、一哉しかないだろう…と思いましたwごめんなさい。ある意味、安眠妨害ですよね、いおりんw

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