見ないで
| 11時過ぎ。可愛い恋人の部屋を訪ねようとしたら、浴室から明かりが零れているのにきづいて、依織は微苦笑をもらす。おそらくは仕事の終えた彼女が入っているのだろう。一日の仕事を終えてからになるから、どうしてもこんな時間になってしまうのだ。 (あまり無理はしてほしくはないのだけれども、ね……) まぁ、夜に依織が無理をさせてしまうこともあるが、それはおいておくとして。何にでも一生懸命な恋人が無理はしていない過渡期になるのは事実なのだ。 (お風呂上りに美味しいアイスティーを淹れてあげよう) そんなことを考えて、その場を離れようとした依織であったが、次の瞬間――。 ガタン! 浴室から大きな音が響いた。が、何の反応もない。 「すず?!」 さすがに何事かと思い、依織は扉越しに声を掛けるが、何の返事もない。 「まさか、本当に倒れてるんじゃないだろうね」 以前、そんな理由で一哉の風呂を覗いたことがあったことを思い出す。一哉から説教を受けるむぎを苦笑混じりに見ていた。 「すず、返事して。返事しないと、入るよ?」 幸いにももう一人の二回の住人である一哉は今日は手掛けているプロジェクトにトラブルがあったらしく、今日はいない。そのため、声を大きくしても支障はないから強めの口調で声を掛けるが、やはり何の返答もない。 「入るよ、すず」 ガラッと扉を開けて見れば、湯気の向こうには風呂洗い用のスポンジを持ったまますやすやと眠るむぎの姿があった。浴槽の外側は泡に塗れていて。散乱しているシャンプーと寝ているむぎの様子から、ねこけたむぎがシャンプー類にぶつかって散乱した結果、あの音なのだろう。 「疲れているみたいだね……」 浴室に大きな音が響いても、こうして依織が入って来ても気付かずに寝こけている。よほど熟睡しているらしい。むぎらしいといえば、むぎらしいというべきなのか。 「けどね、無防備だよ。お姫さま?」 こうして入ってきたのが依織だったからよかったものの、同居人たちの誰かでも部屋に入って来る可能性があるのだ。反省してもらう必要がある。 洗面器に水を入れ。それをすくってむぎの頬にこぼしてゆく。 「ん……?」 水の冷たさに反応して、むぎは身じろぐ。そんなむぎの耳元に依織はささやきを落とす。 「起きて、お姫さま?」 水で濡れて、冷たくなった手でその素肌に触れると、『ひゃあ?!』と素頓狂な声が上がった。 「え、あたし……?」 目が覚めても、まだ覚醒仕切っていないのか、トロンとした瞳で状況を把握しようとする。 「やれやれ、目が覚めても無防備なお姫さまだね。それとも、わざと僕を煽っているのかな?」 「え……。きゃぁ!」 慌ててみても、後の祭り。無防備な裸の状態を依織にさらしてしまっている。 「や、見ないで……!」 慌ててタオルを引き寄せて、隠そうとするけれど、それは依織の手によって簡単に押さえ込まれてしまう。 「い、依織くん?!」 声が裏返ってしまうのはもう仕方ないといえば仕方ない。そんなむぎに依織はにっこりと笑って宣告した。 「疲れてるみたいだね。寝てしまうくらいだし。シャンプーが散乱しても、起きないんだから」 「あ〜。うん。ちょっと疲れてたみたい」 下手に否定すると、どんな目にあうかわからない。必死で頷く。だが、むぎの思惑は斜め方向にずれてしまった。 「じゃあ、僕がむぎを洗ってあげなきゃね」 「……え?」 その言葉にむぎは固まるしかない。そんなむぎをいいことに依織は着ていた服を手早く脱いで、脱衣所に放り投げてしまった。 「あの、どうして脱ぐの?」 お風呂のせいではない汗がたらたらと流れ落ちる。嫌な予感…どころか、確信とも言うべきなのか。 「せっかく着替えたのに、ぬらしてしまったら、洗濯物を増やして、すずを疲れさせてしまうからね」 「い、いや。自分で洗えます。だから……」 「また、眠られたりしたら、僕が心配なんだ。すずは僕に心配をかけるのが好きなのかな?」 「すきじゃ、ないです」 ぎこちない敬語になりつつ、丁重にお断りしても、この状態の依織が聞いてくれるはずがないことは本能というか、学習能力というべきか。 「大丈夫。眠りの楽園よりももっと素敵な楽園に連れて行ってあげるから」 それはそれは鮮やかな笑顔で宣告すると、逃げようとするむぎを背後から抱きしめる形で、捕らえてしまった。 「や……」 素肌に触れる依織の指の感触にむぎは身をすくめる。依織はそれを気にせず、ボディソープを手に取り、あわ立てると、むぎの肌を直接洗い始めた。 「心臓に遠いところから洗わないと、ね」 つま先からゆっくりと依織の手が這っていく。滑らかな泡の感覚と微妙な手の動きにむぎは逃げ出そうとするが、依織の腕がそれを赦さない。 「ん、ふっ……」 体の芯がじんわりと熱を持っていく。依織の手はつま先からふくらはぎ、ふともも、足の付け根までゆっくりと丁寧にむぎの身を清めていく。 「次は腕だね……」 そう囁かれた時にはもうむぎは自分の身体にこもった熱に意識を奪われかけていて。ただ、依織に翻弄されるだけだ。指の一本一本を現れていくだけでもむぎの身体は敏感に反応する。 「最後は心臓の付近だ……」 大きな手がむぎの胸をふんわりと包み込む。柔らかな胸の頂の一点だけは既に硬くとがって存在しており、依織の指は執拗にそこに触れてくる。 「あ、ぁ……」 浴室というものは音が良く響く。声をこらえる分、快楽が更に増していくようで、むぎの瞳からはいつしか涙が零れ落ちている。 「どうしたの? ただ、洗っているだけだろう?」 からかうようなその声はもうむぎにとって毒でしかなく。 「も、や…ぁ……」 ただ弱弱しく首を振る、むぎに残された最後の手段だった。 。 |
中途半端で終わってますorz 最初っから、つまずいててどうするorzごめんなさい。ある意味、安眠妨害ですよね、いおりんw
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