Sweet Day


 3月も半ばのある日、公園のカフェテラスはカップルたちでにぎわっていた。だが、一番眺めのいい席は予約済みの札が
置かれていて、訪れたカップルたちの数人かは残念そうに肩をすくめる。
 やがて、銀髪の青年と栗色の髪の少女を伴ってやってきた。
「いらっしゃいませ」
「予約してたんだが」
「わかりました」
 ウエイトレスに案内されたのは予約済みの特等席。
「ご注文は?」
「アイスティーとコーヒー。あと、特製パフェを。スプーンは二つでお願いします」
 答えたのはにっこり笑顔の少女。その可愛さに思わずウエイトレスも笑みをこぼす。
「かしこまりました」
 注文を受けたウエイトレスが下がると、少女は嬉しさを隠し切れない様子。
「何だよ」
 ぶっきらぼうな口調ながらも、青年も機嫌よさげ。少女の機嫌がいいから、だ。
「だって、アリオスとこういうデートって初めてでしょ?」
「まぁな」
 ここにこうしているのが、新宇宙の女王と彼女を支える守護聖であることをここにいる誰も知らない。幸福そうな恋人たちに
しか見えないだろう。そんなことがとても嬉しい。
 今日はホワイトデーで。ヴァレンタインデーのお返しにアリオスにここにつれてきてもらったのだ。
「お待たせしました」
 しばらくしてやってきたのはこの店の看板商品である特製フルーツパフェである。普通のパフェより量が多く、大抵2、3人で
食べるのだ。大抵は仲のいい友人同士か恋人同士で注文されている。今日は特に注文も多いようだ。
「美味しい!」
 満足そうにパフェを味わうアンジェリークにアリオスもつられて笑みを零す。
「アリオスも食べてね。そんなに甘くないし、フルーツも新鮮で美味しいのよ」
 スプーンを持ちはするものの、決して手をつけようとしないアリオスにアンジェリークは釘を刺す。
「はいはい……」
「何よ。別に、何分以内に食べたら、お金はただになるパフェの量じゃないから、平気でしょ?」
「……まぁ、あれに比べたらな」
 別の店で見かけたショーウィンドーのパフェに、見るだけで胸焼けがしたアリオスである。膨大な量のパフェを食べる事に
比べたら、確かに今の状態の方がましである。
「はい、アーンして」
 そう言ってスプーンに載せられたアイスクリームを口元に運ばれる。
「恥ずかしくないか?」
「だって、一度やってみたかったんだもん……」
 真っ赤な顔でもごもごというアンジェリークがとても可愛くて。アリオスは折れてやることにする。
「ん……」
 食べてみたら、アンジェリークの言葉どおり、アイスクリームは甘すぎる事もなく、フルーツの味もいい。
「悪くないな」
「でしょ?」
 素直じゃないけれど、味は認めてくれたのが嬉しくて、アンジェリークは笑顔になる。
「じゃ、おまえも食えよ」
「え?」
「やってみたいんだろ?」
 アルカディアで二人であっていたときの思い出を言われ、アンジェリークはクスリと笑う。あんな些細な事を覚えていてくれた
ことが嬉しくて。
「ほら、早くしないと溶けちまうぞ」
「うん」
 頷くと、アンジェリークはアイスクリームを食べさせてもらう。とても、幸福な光景。
 なお、この席のパフェのアイスクリームの溶ける速度はとても速かったとウエイトレスの証言があったことは言うまでもない。
 



ホワイトデー創作です。今、通ってる学校が入ってる第四ビルの中にある某喫茶店の前を通るたびに、パフェの見本に唖然とします。
そんな事を考えながら、書きました。

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