史上最強のライバル



「最近さぁ、ロザリアって恐くないか……」
 地の守護聖ルヴァ主催のお茶会の準備中、何気ないランディの言葉にゼフェルは思わず頷いてしまう。普段、仲の悪い二人
であるはずなのに。

「あいつが恐いのは前からだがな、更にパワーアップしてやがる」
 女王候補の一人であるロザリアは、プライドが高く、また彼女の能力はそのプライドに見合ったもの。自他とも認める完璧なる
女王候補である。

「何の話?」
 カップを並べていたマルセルは首を傾げる。
「ロザリアが恐いって話だよ」
「……そうかな。確かに言い方はきついけど、いい子だと思うよ。何だかんだとアンジェの面倒見てあげてるし。『私はアンタの
ライバルなのよ!』なんて言いながらだけどね」

 ニコニコ。満面の笑顔。多分…人の裏を見抜けるほどには彼は大人ではない。
「アンジェにってのが問題なんだよ……」
 ふぅっと溜め息を吐く。そう、問題はもう一人の女王候補アンジェリークにからんでいること。
 ごく普通の少女だったはずが、女王候補に選ばれて。おぼつかないながらも、一生懸命で。フワフワの金の髪に縁取られた
笑顔はその名の通りの天使そのもの。誰もが心魅かれずにはいられない。

「この間、育成の帰りのあいつに森の湖に誘おうとしたら、『この子にはにはやることがありますの』って、返事を聞く前に連れて
行きやがった」

「俺なんか…朝、誘おうとしたら、鉢合わせになったよ……」
 守護聖同士で鉢合わせならともかく、なぜ、女の子と鉢合わせになるのか…戸惑っている隙にアンジェリークは連れ出されて
しまった。

「でも…アンジェリークの育成のことを考えてあげてるんだよ」
 あくまでもそれをロザリアの好意に受けとめているマルセル。
「俺らなんて、まだましなんだぞ。オスカーなんかは絶対二人きりにならないように、育成には一緒に行ってるらしいし」
「オリヴィエ様なんか、それを見越して二人一緒に誘ったりしているらしいからな」
 美しさを司る彼は元々、可愛い女の子を飾り立てるのが好きなので、二人一緒に可愛がる方針に切り替えたと言う。
「絶対、俺たちは敵視されている!」
 そう力説する二人であるが、マルセルは納得が行かない様子だ。
「でも…僕やルヴァ様が誘っても、ロザリアは何も言ってこないよ……」
 綺麗な花が咲いたと誘うこともあるし、美味しいお茶をご馳走しますよ…と、ルヴァが声をかけることもある。だが、邪魔など
された記憶はない。

「そりゃ…おまえやルヴァなら人畜無害だからな……」
「ゼフェルの言い方はともかく……。なぁ……」
 ゼフェルとランディの言葉に、疑問符を顔に浮かべ、首を傾げるマルセルである。
「おやぁ…準備はできましたか〜」
 のんびり、にこにことルヴァの声。
「はーい」
 ニコニコニコニコ。笑顔の満開。これを相手に…である。北風と太陽…いつの時代も太陽が強いのだ。
「今日は、お招きありがとうごさいまーす」
 鈴が転がるような天使の声。振り返れば、満面の笑顔の天使。傍らには青い瞳の最強の守護天使を従えて。
 その様子に二人は大きく溜め息を吐く。まずは青い瞳の守護天使をなんとかしないことには何も始まらないのだ。
「何をお話でしたの?」
 まるでさっきまでの会話を聞いていたかのようににっこりとした笑顔の裏にある圧倒感。
「アンジェリークは私の大事な親友でもありますの」
「嬉しい。私もロザリアが大好きよ」
 ギュッとロザリアに抱きつくアンジェリーク。戸惑いながらも…どこか嬉しそうなロザリア。
(こいつに勝てる奴はいないのかよ……)
 心の中で叫ぶが助けはない。

 どちらが女王になってもその絆は変わることはない…それはいいことなのだ。だが、天使に恋する男たちには史上最強の
壁であったことは言うまでもない。 

ロザリアVS守護聖って……。勝てるわけないって。聖地最強だもん。私が書いてて幸せな話です(笑)


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