ソフトクリーム
日の曜日。気分転換に散策しようと、ジュリアスは庭園に赴いた。
「あれは……?」
庭園に入ると、噴水の近くに人だかりができている。何があるのだろうと、近付いてみると、ジュリアスは硬直した。だが、気をとり直して、人垣の中の一人、金の髪の少女に声を掛けた。
「何をしておいでですか?」
「あら、ジュリアス、こんにちは」
人垣の中心にはソフトクリームの屋台。六色のものらしい。珍しさから人垣が出来ているのだと、ジュリアスは状況を把握した。だが、それとこれとは話が別である。
「ちょっと、こちらに来ていただけますか?」
「あら、食べてからじゃ駄目? ソフトクリームが溶けてしまうわ。これから、お説教でしょう?」
ジュリアスのお説教は長いから、と暗に告げる少女に、それなら最初から抜け出さないでほしいとつくづく思った。
「このソフトクリームね、生チョコとかワインとか、色々なのよ。このお店を庭園に出すって、チャーリーから聞いていたの。だから、楽しみだったの〜」
「おっしゃっていただけたら、買いにやらせましたが……」
「だめよ、ジュリアス。こう言うのはね、お日様の下で食べるのか一番美味しいのよ」
女王の力説に頭を抱えたくなる。そして、チャーリーにあまり余計なことを吹き込ませないようにする必要があると結論付けた。ある意味、八あたりである
「生チョコ最高〜。ワイン味も美味しい〜」
ジュリアスの苦悩など察することなくアンジェリークはソフトクリームに舌鼓を打っている。六色のアイスクリームは結構な高さになっているため、木のスプーンで一口ずつ食べていた、アンジェリークだったが、複雑そうなジュリアスに気付いて、ソフトクリームから意識を戻した。
「ジュリアスも食べたいの?」
「は?!」
「だって、さっきから私とソフトクリームばかり見てるじゃない」
「ち、違います!」
いきなり何を言い出すのかと慌てるジュリアスにアンジェリークはにこにことソフトクリームを木のスプーンですくった。
「ジュリアスにはワイン味のがいいかしら。美味しいのよ。あーんして♪」
「……」
無邪気な笑顔と近付いてくるソフトクリーム。
(い、いかん。陛下のペースに巻き込まれては……)
このまま、流されて食べてしまったら、自分は女王の脱走を認めてしまったことになる。それだけは避けたい。だが……。
「ジュリアス、食べないの?」
小首を傾げるアンジェリーク。周囲の視線も集まってきている。
「早く食べないと溶けてしまうわ」
まるで自分が悪いように言われてしまう。
「ですから、陛下……」
「私からもらうの、嫌……?」
「陛下……」
悲しげな声でそう言われると、ジュリアスは焦ってしまう。悲しませるつもりなど、あるはずもないのだから。
「いただきます……」
「はい♪」
結局は決死の覚悟でソフトクリームを口にするしかないジュリアスであった。
北海道で食べた六色ソフトから思いついた話です。女王リモに結局は甘いジュリアス…って、理想ですね。
|| <Pureness Angel>