Process
「お姉ちゃん、はい」
そう言って、三つ、四つくらいの小さな男の子から差し出されたのは野に咲く名もなき可憐な花。
「ありがとう」
にっこりとアンジェリークが受け取ると、男の子は嬉しそうな笑顔を見せて、母親の元に戻ってゆく。
(可愛い)
そんな様子を見て、アンジェリークの表情は自然に綻ぶ。
「ガキからもらって何が嬉しいんだか」
どことなく不機嫌そうな恋人にアンジェリークは首を傾げる。
「だって、可愛いんだもの」
「ガキでも、男は男だろうが」
「男って…男の子でしょ?」
きょとんとした恋人の様子にアリオスは内心で溜め息を吐く。
(自覚が無さ過ぎる……)
あの子供はアンジェリークを見て、可愛いと思ったのだ。子供の時期によくある、綺麗なお姉さん、可愛いお姉さんが
初恋だったりする、あれである。子供相手とは言え、目の前で恋人にそう言う意味で花を渡し、それを恋人が嬉しそうに
受け取るのは、大人げないと言われようとも、不機嫌になるのだ。しかも、彼の恋人はとてつもなく鈍い。
「ねぇ、アリオスってばどうしたのよ」
「別に……」
そっけなく返事を返してしまうのも、余りにも少女の鈍さへの報復である。とっても大人げないと自覚している。だが、
嫌なものは嫌なのだ。
「もう……。でも、さっきの男の子、可愛かったなあ……」
花を見つめながら、アンジェリークはにこにこ笑っている。
「私もあんな男の子が欲しいなぁ……」
「え……?」
「だから、いつかアリオスの子供が……」
そこまで言って、ハッとしたようにアンジェリークの顔が真赤に染まる。その様子に、彼の様子も一変する。
「バカ……」
グイッと少女を引き寄せる。
「ガキがガキを生んでどうするんだ」
「だからぁ…いつかの話じゃない」
公衆の面前で抱き寄せられて、少女はバタバタと暴れ出すが、力の差でそれも叶わない。
「ま、子供を作るにも過程が要るからな……」
そっと少女の耳元で囁く。
「かっ、過程って……」
「今晩楽しみにしとけよ……」
耳朶を軽く噛んで囁かれた言葉に少女の体から力が抜ける。
「アリオスのバカ……」
上記した頬で、潤んだ瞳で告げるその言葉は青年を楽しませることしかできなくて。でも、これがただ一つの少女の
抵抗だから。
「バカで結構……」
そう言うと、腕の中の恋人の頬にそっと口づけるアリオスであった。
なお、この夜に過程がどのように行なわれたのかは…また別の話となる(笑)。
3000番を取ったあおい様に送った創作です。リクエストは馬鹿ップルと言うことですので、こうなりました。さぁ、この後の
過程は裏に続く…わけないって。
<贈り物の部屋へ>