彼のお得意様


 それは栗色の髪の天使の物語が始まる少し前のこと。
「私、女王になる前はあなたのお店によく行っていたのよ」
 初めて、女王に会うことに多少の緊張を持っていたチャーリーこと、チャールズ・ウォンに金の髪の新米女王は
そう告げた。
「うちの店にでっか?」
 思わず、いつもの話言葉である商業惑星の言葉になる彼に、多少ばかり弾んだ声で答える。
「ええ。品揃もお店の雰囲気もいいし、店員さんも親切だし」
 その言葉は経営者としては嬉しい。<商売は信用が第一>を胸に仕事に励み、代々の主はそう社員を教育
してきたのだから。
「だから、そのお店の社長であるあなたに会えるのが、すごく楽しみだったの」
「勿体ないお言葉です」
 経営者冥利に尽きるとはこのことを言うのかもしれない。
「それにね……」
 次に告げられた可愛らしい女王の発言に一瞬、驚きつつも、ますます親しみを感じてしまった。

 そして、時は過ぎて。色々な事件を経て。
「今回の件では色々働いてもらってありがとう」
 神秘の宝石、ジェムを巡る一連の協力を労う金の髪の女王にチャーリーは恭しく礼をする。
「いえ、陛下のお役に立ててこその存在です。それに旧い知人が迷惑を掛けてしもうたし……」
「あら、“終わり良ければ、すべてよし”よ」
 にっこり、そして、あっさりと言ってしまえるあたり、やはり大物だと考えてしまう。
「それでは俺の気がすみませんわ。ジェムもええですけど、自然の宝石はいかかですか?」
「自然の宝石?」
「色はルビーですけど」
 その言葉と共にチャーリーが差し出した箱を受け取って、開けてみると……。
「あら……!」
 思わぬ贈物に思わず、歓声をあげると、満足そうに頷く。
「お気に召してもらえますたやろか?」
「覚えていてくれてたの?」
 箱の中にはイチゴのタルト。赤いイチゴはルビーそのものの真紅。
『あなたのお店の中にあるティールームのイチゴのタルトが大好きだったの』
 そう言ったのは随分前だったのに。
「パティシェに頼み込むのに時間がかかりましてな。『作りたてでないと、風味が落ちる』て、ゆうて。何とかゆうて、
作ってもらいましたんや」
「ありがとう、うれしいわ」
 柔らかな笑顔で微笑むその表情に、チャーリーも満足感に満たされる。
「じゃあ、お茶にしましょう。あなたもご一緒してくれるわよね?」
「陛下のお誘いを断るなんて、勿体ないこと、できますかいな」
 その言葉に金の髪の女王は満足そうに微笑んだ。

チャーリー・リモージュです。いや、トロワのラブチャットで、チャーリーがリモちゃんが女王候補の頃にチャーリーの店に行ってた
っていうから……。

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