幸福な気分になれるというアーティファクトをひょんなことでニクスが手に入れて来た。 「変わったヘアバンドですね……」 「猫の耳がついてなきゃ普通のヘアバンドだよな……」 アンジェリークとレインはニクスに見せられたそれについて各々の感想を述べる。 「これが作られた意図も不明なのですが……。アンジェリーク、つけてみてもらえますか?」 「私が、ですか?」 ニクスに勧められて、アンジェリークはきょとんとする。 「おい、ニクス。効果が分からないのに、それをこいつに試させるのか?」 レインが止めに入るが、ニクスは読めない笑みを浮かべているだけ。 「レイン君がつけても、楽しくないですから」 「はぁ?!」 訳が分からないという顔をするレイン。この場の空気が悪くなるのは、避けたい。 「……あの、私、つけてみますから」 アーティファクトを手に取ったアンジェリークをレインは息を飲んで、ニクスは笑顔で見つめる。 「頭につければいいのかしら……」 恐る恐るアンジェリークはつけてそれをつけてみた。 「どう、ですか?」 つけてはみたけれど、特段幸せになった気はしない。とりあえず、二人の反応を伺って見ると、ニクスは満足そうに、レインは何とも言えない顔をしている。 「思ったとおりです。お似合いですよ、アンジェリーク。とても可愛らしくて、癒されます」 「はぁ……。でも、幸福な気分には……」 「いえ。それは私たちが幸福な気分になれましたから」 「え?」 よく判らないと行った顔をするアンジェリークにニクスは言葉を続ける。 「それをつけたあなたの愛らしい姿に心が和み、幸福な気分になれました。ありがとうございます」 「はぁ……」 とりあえず、ニクスがそう言うんならそうなのかもしれないと、アンジェリークは頷く。 「……何かが違うんじゃねえのか?」 素直すぎるアンジェリークに一抹の不安を感じたレインが口を挟むと、ニクスはおやおやと両手を上げる。 「では、レイン君はアンジェリークのこの姿が可愛くないと?」 「え……」 そう切り返されて、レインは改めてアンジェリークを見る。猫耳をつけて、あどけなく首を傾げる姿は子猫のようで確かに可愛い。 「いや、そんなことは……」 「だったら、かまわないでしょう?」 あくまでも穏やかな笑顔で断言されてしまえば、もう反論する術は無くなってしまう。 「時々で構いませんので、あなたのその姿で我々を幸福にしてくださいね」 「わかりました」 素直に了承するアンジェリークに言いたいことがかなりあるのだが、結局言えないままのレインであった。 |
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