Most Happiness


 聖獣の宇宙に守護聖が誕生するまで、宇宙は実質的には女王一人の手に支えられていた。当然ながら、それは女王にとっては膨大な負担となっていて。早く守護聖が終結することを誰もが願わずにはいられなかった。
 伝説のエトワールであるエンジュがサクリアを流現したり、守護聖を連れてきてくれることで、少しずつ負担は減っていたとは言え、やはり忙しいことには変わりない。曜日の感覚が最近戻ったばかりだ。
 だから、当然のことながら、忘れていたことがあった。自分自身のことなのではあるが、自分よりも他人を、宇宙を優先する少女らしいといえば、そうなのだけれども。
「ほら、アンジェ」
 聖獣の宇宙広しと女王を愛称で呼ぶ人間は限られている。一人は女王補佐官兼親友のレイチェル。そして、もう一人……
「アリオス?」
 自分を愛称で呼ぶもう一人の青年はポオレンジ色のガーベラの花束をポンとアンジェリークに差し出さす。オレンジ色のガーベラの花束とアリオスをアンジェリークは交互に見つめる。
「私に??」
「ガーベラが嫌いだったか? お前に似合うと思ったんだがな」
「嫌いじゃないわ。嬉しいけど、どうして?」
 いきなり、花束を差し出されて、キョトンとした顔をするアンジェリークにアリオスは苦笑を浮かべた。
「お前、今日は何の日か覚えてるか?」
「アリオスの問掛けにアンジェリークは少しだけ思案する。だが、思い浮かばない。
「何の日だっけ?」
「人のはしっかり覚えてるくせに、な……」
 軽く肩を竦めると、アリオスはアンジェリークの額をツン、とつついた。
「今日はお前の誕生日だろう?」
「え? そうだった?」
「やっぱり、忘れてたか……」
 忙しい日々、だ。自分の身を削っても、宇宙のために頑張る少女には自分の誕生日には無関心なのだろう。…と言うか、かまう余裕がないと言うべきか。
「アリオス、覚えててくれてたの?」
「お前は俺の誕生日を覚えているだろう?」
「当たり前じゃない」
 何を言ってるのだ、今更と言わんばかりの顔をするアンジェリーク。
「俺もお前と同じだってことだ。お前の誕生日はちゃんと覚えてるさ」
「ありがとう、嬉しい」
 満面の笑顔になるアンジェリーク。大好きな人に祝ってもらう誕生日は何て嬉しいんだろうと思う。
「私、宇宙一幸せだね」
「違うだろ?」
「え〜、どうして?」
「一番は俺だからな。お前がいるんだから」
 しれっとした顔で、言うアリオスにアンジェリークはにっこりと笑って、アリオスに抱きつく。
「じゃあ、私たち、宇宙で一番幸せなカップルだよね?」
「だな」
 互いに微笑みあって、二人は唇を重ねた。

ガーベラはアンジェによく似合うと思うのですよ……。自分へのBDプレゼントなので、勝手気ままに……。けど、石を投げたくなるのは
何故なんだろう……。


|| <Going my Angel> ||