魔天使様と守護聖様

 一年と言う期間、聖地を駆け抜けた流星は、そのまま流れては行かずに聖なる天使へと姿を変えてしまった。そのことを喜びはすれ、厭うものなどあるはずがなかった。少なくとも、その時にはなかったのだ。
「ったく、エトワールでいた頃よりも居着かないってのはどういうこった……」
 そう毒づいて、レオナードは白の中庭を歩いていると、ベンチで昼寝をしている人物を見つけてしまい、ますます眉をしかめた。
「やれやれ、魔天使様とやらは優雅なご身分なこって」
「陰口を聞くなら、人に聞こえないように言ったらどうだ?」
「生憎、聞こえないようにってのは、性に合わねえんだよ。だいたい、寝てる振りしてたんなら、そのまま聞き流せばいいんじゃねえの?」
「おまえさんの足音が耳についたんでな。嫌でも目が覚めちまったんだよ」
 ああ言えばこう言う、売り言葉に買い言葉といったところである。
「聖天使は宇宙を飛び回ってるってのに……」
「聖天使がいないから、寂しいってことかよ?」
 揶揄するアリオスの言葉にレオナードは眉間に皺を寄せる。
「んなんじゃねえよ。でもな、俺様を守護聖にしたのはあいつなんだから、あいつは責任を持って俺の様子を見に来る義務があるじゃねえか」
「……やっぱり寂しいんじゃないのかよ」
 まるで、子供の言い分だ。その理屈でいけば、エンジュは守護聖全員の執務室を訪れる義務が生じてしまう。そうなれば、そうなったで機嫌が悪くなるはずなのに。まぁ、大きな子供の相手もいい加減面倒だし、昼寝の続きもしたい。久々すぎるせっかくの休日なのだ。
「聖天使はあと二日ほどで戻って来るらしいぜ? 補佐官殿の話ではな」
「そういうことは早く言えよ」
「聞かなかったじゃねぇか。そういうわけだ、おとなしく仕事しとけよ? でないと、またエトワールが聖地を後にしかねないぞ」
「ちっ」
 アリオスのその言葉に軽く舌打ちをして、レオナードは白の中庭を後にしてしまう。それを見送って、アリオスは軽くため息をつく。
「あれのどこが俺と似てるんだ」
 女王および、女王補佐官、果ては聖天使にいたるまでのその評価にアリオスはそう毒づいた。

アリオス的には嫌なんだろう…とw

<聖地お笑い劇場>