魔天使の定義

 伝説のエトワールであるエンジュが一年間の使命を終え、本来は故郷に戻るはずだったのを、聖天使として、成獣の宇宙に残ることになった。そのことが決まった席で出てきた謎の青年、アリオス。神鳥の宇宙出身の守護聖たちは彼を知ってはいたが、多くを語らなかった。
「怪しい男だとおもわねぇか?」
「え? アリオスさん、いい人ですよ?」
 レオナードがそう振ってみても、エンジュ自身は否定するから、何となく面白くない。自分で知らないところで仲良くしていたということが気に入らない。
「そうか?」
「そうですよ?」
 ニコニコと人を疑うことを知らない笑顔。…少女の手にかかれば、皆いい人になるのかもしれない。世間知らずの子供はこういうときに厄介だ。
「大体、自分のことを“魔天使”って言ってるぜ? 魔天使の“ま”は間男の“間”の間違いじゃないのか?」
 そう言って、レオナードは大きく肩をすくめて見せる。
「誰が、間男だ」
「おわっ!」
 不意に背後から機嫌の悪そうな声にレオナードが振り返ると、そこにはうわさの人物が立っていた。
「何だよ、俺は思ったことを言ったまでだぜ? そういう感じがするからな」
「…ま、惚れた相手に何もできない甲斐性無しとは違うからな、やることはやってるさ」
「おい、お前。エンジュの前で!」
 途端に慌てるレオナードにエンジュはきょとんと首をかしげる。
「あの、甲斐性無しとか、やることって……?」
 ある意味、世間知らずのままでいられたほうがまだ救われる。そう、レオナードは思った。
「何でもねぇよ」
「はぁ……」
 ほっとため息をつくレオナードにアリオスは面白そうに笑う。
「ま、せいぜい頑張れ。でなきゃ、すぐに手をつけられるぜ?」
「うるせえ!」
 アリオスのありがたくもない言葉に、とっさに言い返すレオナード。事態の判らないエンジュはただ首を傾げるだけであった。

大人気ない対決かもしれない……。レオナードは大切にしすぎて、エンジュに手を出せない人だといいですw

<聖地お笑い劇場>