天然素材

 聖地には季節感というものがない。万年常春の世界だ。
「まるでマリネラみたいな世界なのね」
 長期連載を続けている某漫画の王国をエンジュが思わず考えてしまっても仕方ないだろう。
「何の話だ」
「いえ〜。せっかく季節の上では夏なのに、夏っぽくないなぁと思いまして」
 レオナードの問いかけにエンジュはそう言って笑う。
「お前にとっての夏のイメージってのは何よ?」
「やっぱり、もぎたてのトマトにかぶりついたり、もぎたてのきゅうりをかじったり。あと、とうもろこしの塩茹でにしたり~。最高ですね」
「食いもの関係かよ。しかも、微妙に田舎じみてやがる」
「どうせ田舎の子ですから。あと、手作りのアイスクリーム。最高ですよ?」
「やっぱり、食いもん関係か……」
 色気より食い気といった少女にレオナードは苦笑する。どうして、彼女じゃないと駄目なのだろうか、とも。
「でも、本当に美味しいんですよ?」
「はいはい、わかった、わかったって」
 力説する少女をそうやって、真夏の世の夢的な展開に持ち込もうかと思案しても、たぶん無駄なのだろうとレオナードは悟るしかなかった。


2005年夏のWeb拍手より再録。タイトルどおり、エンジュちゃんは天然なのですよw

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