噂話

 金の曜日の白の中庭はなるべくなら、通るな、とは誰かれなしに言い出され始めていた。
「馬鹿ップルの片割れに祟られかれねえって、補佐官が言ってたからな、お前も気を付けろよ」
 レオナードがエンジュにそう告げた時、エンジュが苦笑したのはもちろんだ。レオナードがいうところの馬鹿ップルの正体はエンジュは知っているからだ。
「レオナード様、祟られるなんて失礼ですよ〜。仲が悪いより、いいに越したことはないんですから」
 と、一応のフォローは入れてはみる。エンジュからみれば、お互いを想いあった素敵な二人だと思う。以前、偶然に見掛けた二人の寄り添う姿は一つの芸術のように完成された姿で。エンジュはときめきを覚えたのだから。
「私はそのお二人には憧れますよ」
 いつか、大切な人と寄り添えるのなら、二人のような姿でありたい。少女らしく、可愛らしい憧れ。
「ふぅん、宇宙大好きなエンジュちゃんも、意外に乙女だねぇ……」
 からかうようなレオナードの言葉も気にせず、エンジュはにっこりと笑う。
「そりゃあ、私だって女の子ですからロマンティックな恋愛には憧れますよ〜。あ、でも、まずは相手を見付けないと〜」
 どこかにいませんかねぇと、ころころと笑って言ってのけるエンジュにレオナードは内心で溜め息をつく。目の前にこれほどのいい男がいるのに、それはないだろう、とも。
「お前なぁ……」
「はい?」
 無邪気に見上げてくる瞳に毒気を抜かれる気までしてくる。結局はこのあどけなさを前にしては何もできない自分を再認識するだけである。
「まぁ、いい。それより、日の曜日はつきあえや。セレスティアで遊ぼうぜ」
「はぁ…かまいませんが……」
 話の関連性がイマイチわからないけれど、レオナードと過ごすのは楽しいから、断る理由なんてない。と言うより、嬉しいのだ。エンジュ自身がこの感情の意味に気付くのは、まだ先の話になりそうで、レオナードの苦労はまだまだ続くことになることは言うまでもなかった。

本当は5周年記念創作に入るはずだったシーン。…いらないと思って、削りました。エンジュは天然希望。
レオナードは振り回されるほうが好き。(…本当のところはアリコレとダブるんだよ……。年齢差カップルで、
男が似たもの同士なので))

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