可愛いの基準


「どうせ私は可愛くないわよ」
 それは彼女の口癖と言っても過言ではなかった。勝ち気、と言うよりは負けん気が強い性格は自分が納得できなければ、
引くことはない。
「今度はどうした?」
 約束の地での二人きりでの逢瀬だというのに、機嫌が悪い少女にアリオスもいい気がしない。だが、それを受け止めて
やれるくらいの余裕は持ち合わせている。
 このアルカディアでの毎日はアンジェリークの負担が大きすぎる。精神的に滅入ってもおかしくはない。何の手助けも
出来ないが、愚痴程度なら聞いてやれるつもりだ。
「言って見ろよ」
「別に」
「そういう顔じゃねえだろ」
 グイッと強引に振り向かせて見れば、プイと顔を背ける。それをさらに固定させると、アンジェリークは顔をブスッとさせる。
「フグみたいだな……」
 クッと喉を鳴らして笑うのはアンジェリークをからかうときのアリオスの癖のようなもので深い意味はない。だが、それも
アンジェリークのカンに触ったらしい。
「可愛くないって言いたいんでしょ」
「おまえ、いい加減にしろよ」
 前言撤回。ここまで頑固だと流石にアリオスも腹を立てる。そして、彼は手段を選ばなかった。
「わかった。なら、可愛くしてやるよ……」
「?」
 突如、凄みを帯びた声にただならさを感じてアンジェリークは身を竦める。
「あ、あの。アリオス……?」
「おまえが悪いんだからな?」
 ニヤリと笑うとアリオスは後ずさろうとするアンジェリークを押さえ付けた。

「あ、やぁ……!」
 甘い声かとめどなく溢れる。すでに少女の身を守る布地は取り払われ、アリオスの前に全てを曝している。白い肌には数え
切れない程の刻印が印されていた。
「や、やん!」
「ほら、また可愛くなった」
 敏感な反応。羞恥を堪える姿。どれもアリオスを楽しませて止まないもの。
「ま、俺限定の『可愛い』だがな……」
 そう呟くと、アリオスはアンジェリークの足を大きく開いて、その中に自分自身を沈めた。
「ん、くぅ……」
 アリオスを受け入れようと、無意識に背中に回される腕。アリオスの与えるリズムな合わせて、アンジェリークの腰も揺らめく。
「ク……。やっぱり可愛い、な……」
「ア…リオス……。も、ぁ……」
 限界を訴えるアンジェリークにアリオスはアンジェリークの足をさらに開いて、より奥に打ち付ける。
「−−!」
 ビクンとアンジェリークの身体が跳ね上がり、アリオスを激しく締め付ける。それに促されてアリオスも自身を解放した。

 相変わらず、アンジェリークの機嫌は悪いまま。だが、アリオスはニヤニヤとアンジェリークを見つめている。
「で、理由は?」
「もうどうでも良くなったわよ」
 元々は単純なコンプレックスから始まったものだ。勝ち気で可愛げがない、という自分の性格に嫌気がさすことがあるだけだ。
「おまえはそのままでいいさ」
「……?」
「俺はそのままのおまえでも可愛いと思うぜ」
 アリオスのその言葉に内心で白旗を上げる。何だかんだ言っても、アリオスはアンジェリークの一番欲しい言葉をくれるの
だから……。

うちのコレットは自分のことを可愛くないと思い込んでる可愛い女の子です。