KKK


 新宇宙の女王補佐官、レイチェルはとても有能な人物であった。女王候補時代、16歳の若さでありながら、すでに大学を主席で
卒業し、王立研究員の研究員であった天才少女には当然のことである。
 そして、何よりも大切な親友のため…ということが、彼女の働きをより一層高まらせた。天才であ利、自分に絶対的な自信を持つ
レイチェルと一歩ひいた関係を保つものばかりの中、同じ女王候補として選ばれたアンジェリークは一人のライバルとしてではなく、
ともに女王試験を頑張る対等の相手であり、戦友としてレイチェルを見てくれた。それは何よりもレイチェルにとっては新鮮なことで。
何よりも嬉しいことだった。
 だからこそ、女王試験が終わり、最終的にアンジェリークが女王となっても、彼女の側で補佐官として、自分のできることで彼女を
支えたい…と、素直に思えたのだ。
 新宇宙で二人きりのときも、故郷の宇宙が危機に陥り、危機を救いに行ったアンジェリークの帰りを待つのも、いきなり見知らぬ
世界へつれてこられ、未来の宇宙を救うためにアンジェリークとともに奔走することもまったく苦痛ではなかった。大切な親友と共に
頑張ること、一人に重荷を背負わされている親友の負担を軽くすること。それができるのは自分だけ、そう信じていたから。
 余計な男がくっついてくるまでは(笑)

「陛下。次はこの書類をネ♪」
「ええ。わかったわ」
 女王の仕事はなかなかに忙しい。宇宙の意思である聖獣アルフォンシアと意思を通い合わせることにより、この宇宙全体の発展に
必要な要素を把握し、実際的にどの惑星のどの力が必要かを調べ、指示を出す。アルカディアの住人が移住してきたこともあり、
急に人口が増えたものだから、色々と仕事も増える。女王と補佐官だけでは当然まかないきれなくなる量だ。だからこそ、優秀な
人材が入るとありがたかった。ありがたかったのだが……。
「この惑星の調査に関する案件をまとめてきたぜ」
「ありがとう。アリオス」
「礼をいわれることじゃねぇよ。これが仕事だからな」
そう問題はこの男、アリオスである。かつて、故郷の宇宙を侵略した男の転生した姿。記憶はそのまま、残っているという。
 あの旅から戻ってきた時、悲しげな瞳をして、笑うアンジェリークを何度もみた。何があったのかは本人の口からは聞けず、エル
ンストを締め上げて聞くことができた。アンジェリークの心が落ち着くまで待つつもりだった。新宇宙で初めての人間の生命も生まれ、
色々と忙しくなれば、気もまぎれるだろうと思っていたら、アルカディアでの一件があって。そこで転生したかれと巡り会ったらしい。
明るくなった表情に安心していたら、内緒で会っていたと言う。全てが終わってから、ようやく二人の中は公認とするところによった。
(そりゃ、アンジェが幸せなら、文句はいわないわよ〜)
 アンジェリークに女王が幸せでない宇宙が幸せになれないとは言った。だからといって、アンジェリークを独占してもいいということ
にはならないはずだ。
「ね、アンジェ。たまにはさ、女の子同士でパジャマパーティなんかしない?」
「え、それって、楽しそう〜」
 女王とはいえ、まだ年頃の少女。こういうイベントの誘いは簡単に乗ってくれる。
「女同士でね……」
 揶揄するような口調のアリオスを気にせず、盛り上がっている。
「そうよ。一緒にお風呂に入って〜」
「そうよね、楽しいよね〜」
「お菓子も選んでさ〜」
 こうなると、女の子同士の独壇場である。一人取り残されるアリオスであるが、ただで転ぶ彼ではない。
「風呂に入るのはいいけど、見えてもいいのか?」
「?」
 アリオスの言葉の意味がつかめず、首を傾げるアンジェリーク。アリオスはアンジェリークの髪を掴むと、アンジェリークのうなじには
紅い跡がたくさんついている。それが意味するものは……。
「いくら、親友でも、一人身の補佐官殿には刺激が強いよな〜」
「アリオスの馬鹿〜」
 パニックに陥るアンジェリークだが、レイチェルも負けてはいない。
「あら。ワタシは気にしないよ。アンジェもワタシと一緒なら、翌日の仕事に支障ないんじゃないの〜」
 ピキピキ…と空気が凍りつく。アンジェリークが大切なのはどちらも同じ。恋人として、親友として。親切に譲ってしまえば、相手の
ペースに落ちてしまう。
「あ、あの。二人とも?」 
 その場を取り繕おうと、アンジェリークが声をかけても、二人には届かない。攻防が繰り広げられている。
 
 こうして、今日もまた新宇宙での一日は過ぎてゆくのであった。


アリオス限定キリ番31502番を踏まれた晶様からのリクエスト。レイチェルとアリオスの攻防です。実は、こういうのは書くのが初めて
だったりするんですよね〜。


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