IF


「歴史にIFは存在しないのよね」
 アンジェリークの言葉にアリオスは怪訝そうな顔をする。執務を終えて、女王のプライベートな時間。故にアリオスもこうしてそばにいる。
「私が女王にならなかったら、私はアリオスと出会えなかったんだなぁって、思ったの」
「くだらねえな。今更、何を言ってやがる」
「うん。アリオスにしてみればくだらないんだろうけどね。これってすごいなぁって思ったのよね。女王にならない選択、私には許されたのよ。陛下たちは選ぶことができなかったけれど、私は選べるんだって」
 金の髪の女王の宇宙は寿命に来ていたという。そのために新しい宇宙の器となる地を育成しそのまま移住したのだと。アリオス…、いや、レヴィアスがあの宇宙を狙ったのはそのみずみずしい生命力に溢れた宇宙だったからに他ならない。
「女王になることを選んで、アリオスがあの宇宙に侵略に来て。あの時も私は選んだのよ。すべてを捨ててあなたを選ぶって。もし、あなたを選んでなかったら、あなたはここにいてくれた?」
「……いなかっただろうな。心を闇に囚われたままだったろうさ」
 アンジェリークの瞳は真摯な色を写している。だからこそ、アリオスも紳士に答えるしかなかった。
「そして、アルカディア。いろんなことがあったけど、今度はアリオスが私の傍にいることを選んでくれたよね?」
「お前が馬鹿だからな、俺がついててやらねえと……。また馬鹿な選択をさせないために、な……」
「うん。全部、選んだ先にあったことだよね。もしも一つでも、IFが存在したら、私たちこうしていられなかったの……」
 そう言うと、アンジェリークはアリオスの背後からしがみつくように抱きつく。
「おい。今日はずいぶん甘えるんだな? 俺が甘えていい日じゃないのか?」
「うん、でも。正面から言うのは恥ずかしいから、ちょっとこうしていてね? アリオス、私を選んでくれてありがとう……。生まれてきてくれてありがとう……。大好き……」
 細い手から伝わるぬくもりとその言葉にアリオスは何ともいえない顔をする。アンジェリークが背後から抱きついてくれてよかったとも思える。アリオスとて、今の顔はみせられたものじゃないからだ。
「バーカ。知ってるぜ、そんなこと……」
「うん……」
 柔らかなぬくもりに包まれて、静かに時が過ぎていった。



久々にアリコレw アリオス、お誕生日おめでとう〜vvv 

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