幸福な独占
| 11月22日。その日は特別な日。アリオスが扉を開けると、手作りの小さなデコレーションケーキとラムのシチュー。焼きたてのパンとサラダ。そして、ウオッカ。当たり前のようにそれが並べられる食卓の真ん中には花が飾られていて、満面の笑顔で迎えられるのだ。 「お誕生日、おめでとう。アリオス!」 と。 「毎年言ってて飽きないか?」 「飽きるわけないじゃない。同じ日なんて一つもないもの」 女王としての使命に忙殺されながらも、アリオスの誕生日は自分の手で祝いたいと、手づからの準備を怠らない。嬉しくないわけではないが、自分を祝うために無理をされているんじゃないかと気が気ではない。そんなアリオスにアンジェリークは穏やかに笑いながら言った。 「だって、こうやってアリオスをお祝いできる幸せを知ってしまったんだもの。アリオスが側にいてくれる限りは続けたいの」 我儘かもしれないけれど…と言い添えて。 「俺を祝うのが幸せなのか? 普通は祝われる方が幸せなはずだろう?」 アリオスが生まれて来て、自分と巡り合えたことに感謝したいから祝いたいのだと、初めて誕生日を祝われた時にアンジェリークは言った。その言葉に水を打たれた気分になった。その時から、だ。アリオスがアンジェリークが祝ってくれるこの日を、自分が生まれて来たことを初めて感謝してみたくなった。だが、それはアリオスが嬉しいだけであって、アンジェリークに喜ぶべきメリットが見出だせないのだ。 「アリオスが生まれて来た日を感謝出来る日に、私がアリオスをお祝いできるのよ? この上なく嬉しいことだわ」 「わけわかんねえな……」 「アリオスは他の人がお祝いしてくれるって言ったら、私よりもその人のところに行く?」 「行く訳ないだろ。お前以外のやつに祝われたって嬉しいはずないだろ」 「だから、そういうことよ。子供みたいな独占欲だって判ってるわ。でも、私だけがこうしてアリオスをお祝いする権利があるのが嬉しいの」 真っ赤になりながらも、真っ直ぐにアリオスを見上げる瞳。 「お前な……」 「呆れた?」 「ああ、呆れてるぜ。顔が緩みそうな自分にな」 「え?」 戸惑うアンジェリークの髪をくしゃくしゃにかき回す。 「俺も嬉しいってことだ!」 「本当?!」 パァっと花が開いたようにアンジェリークが笑う。この笑顔が何よりのプレゼントなのだろうと、アリオスは思った。 |
去年と同じ定義で、今回はあまあまでw
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