彼女の不安

 陛下と敬称で呼んで返事をしないときは、愛称で呼ぶことにしているのは、個人的なことで用件があるときだからだ。案の定、アンジェリークは口を開いた。
「あのね。向こうの宇宙にも守護聖が生まれたでしょう?」
「ああ。光の守護聖が。会ったけど、俺様って感じだったな。ジュリアスとはえらい違いだって話らしいぜ」
「うん……。知ってる」
 女王であるし、聖獣の宇宙のためにこの宇宙の守護聖を協力させているから、そのことは知っていても当然だろう。
「あのね。ロザリアに聞いたんだけど。エトワールの子、エンジュがね。アリオスに出会ったらしいの」
「そりゃ、出会わないこともねぇだろ?」
 今の彼は女王の影で働く存在だ。存在は表立って公表はしていないが、聖地の中にいたら、出会わないことがないほうが不思議である。
「あのね……。あの子、アリオスに会った時に『レオナード様に似てるかも』とか、レイチェルに言ってたらしいの」
「ああ、似てっかもな。傲岸不遜で、わが道を行く奴だしな。不良親父どもって感じ?」
 ついつい調子を合わせて言ってしまったら、ますますアンジェリークは不安を瞳に映す。
「何だよ?」
「私、アリオスとゼフェルって似てるって、前から思ってるの。ゼフェルは将来、あんなふうに格好よくなるんだって……」
「……今は格好よくねぇのかよ」
 似ているという意見はともかく、格好よくなると期待されているのは正直どう反応したものか。まるで、今は格好よくないようない割れようである。
「今は今よ。私は大人になったゼフェルに似合うような、素敵な女性になりたいから〜」
「……」
 さりげなく甘いことを言われて、ゼフェルは顔を赤らめる。大人になったら、ゼフェルに似合う女性になりたいということは、まぁ、そういうことなのだろう。
「でも、レオナードとアリオスが似てるってコトは、ゼフェルがあんなふうになるかもしれないってことでしょう?」
「こらこら!」
 どうして、そう話が飛んでしまうのか。女心はよく理解できない。
「おめーな、俺は俺だろうが!」
「でも〜」
「あいつら以上の男になればいいんだろう? ちゃんと見とけ!」
「そう?」
 その言葉にアンジェリークはきょとんとする。
「俺もちゃんとおめーのそばにいるんだからな」
「……うん」
 その言葉にアンジェリークはようやく安心したように笑みをこぼした。

 
 ちなみにその話を聞いたレオナードとアリオスがとても迷惑そうな顔をしたのも言うまでもないことであった。

うちのリモージュはゼフェルとアリオスが似てると思っています。で、アリオスとレオナードが似てると聞いて不安になったかと思いますw
いや、ゼフェルはいい男になると思いますよ。もちろんw

<聖地お笑い劇場>